2008年11月22日(土) 東奥日報 特集

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■ 試される日本の説得力/鳥インフル、検体共有で

 人から人へ爆発的に感染する新型インフルエンザへの変異が懸念される鳥インフルエンザ(H5N1型)。鳥からの感染による死者数が世界最多のインドネシアが、ワクチンをつくるため感染者から採取したウイルス検体の提供を拒否、各国に困惑が広がっている。検体の共有を主題とする十二月の世界保健機関(WHO)政府間会合で日本は、共有よりむしろ“所有権”を主張する同国を納得させる役回りを期待されており、その説得力が試される。

 ▽南北格差

 インドネシアでの鳥インフルエンザ被害は深刻さを増している。WHOによると、二〇〇三年十一月から今年九月までに世界で三百八十七人が鳥から感染したインフルエンザを発症、うち二百四十五人が死亡した。インドネシアの発症者は百三十七人に達し、うち死者は百十二人。致死率は82%と極めて高い。

 同国は「死者の発生国には検体の提供を求める」とのWHOのルールを順守し、検体を継続的に提供してきたが、〇七年になって提供停止に転じた。

 背景には「検体をもとに先進国が製造したワクチンは高値で販売されているのに、利益が還元されていないとの不満」(日本外務省幹部)があった。WHO加盟国として無償で義務を果たしているのに、日本や欧米諸国の製薬会社は高い技術力を背景に巨額の利益を上げていると映った。あからさまな「南北格差」だとして不満を爆発させたわけだ。

 ▽利益還元

 各国は鳥インフル大国の“離反”に危機感を募らせており、今回のWHO政府間会合を重要な機会ととらえている。新型インフルエンザの大流行を防ぐため、各国による継続的なウイルス監視が欠かせないとの認識が強まっていることも背景にある。

 会合で日本は欧米各国とともに、検体提供国に利益還元する仕組みづくりを進める雰囲気を出すことで、インドネシアに軟化を促す考え。とくに日本は〇六年ごろから、政府開発援助(ODA)を通じ、同国に鳥インフルに感染した患者の治療器具を提供するなどしており、支援拡大も視野に入れる。

 ただ、関係国には「よほどの経済的利益が確約されない限り受け入れないのでは」との見方が強く、日本外務省幹部も「楽観できない」と認めている。




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