2006年8月8日(火) 東奥日報 特集

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■ 夏の美術館に懐かしの作品/ディズニー、ウルトラマン

 白雪姫やバンビ、シンデレラ、あるいはウルトラマンやバルタン星人。会場に入った途端、数十年前の記憶がよみがえる人も多そうだ。懐かしい作品の意外な魅力を伝える展覧会が今、二つの美術館で開かれている。

 ▽完成度

 一つは東京都現代美術館の「ディズニー・アート展」。ミッキーマウスが映画に初登場した一九二八年の「蒸気船ウィリー」から五九年の「眠れる森の美女」まで、ディズニー初期作品のセル画などを展示。米ディズニー社所蔵品を含む約五百五十点で「史上最大のディズニー・アニメーション美術展」と銘打つ。

 意外な魅力とは、高い芸術性。出品作の選定に携わった「三鷹の森ジブリ美術館」の三好寛(みよし・ひろし)学芸員は「『眠れる森の美女』の背景画などは、一枚の絵で通用する完成度の高さ。この時代のディズニー作品は特別」と話す。確かに、木の葉の微妙な陰影や木肌の描写など、実に細密な水彩だ。

 ▽前衛芸術も

 もう一つは川崎市岡本太郎美術館の「ウルトラマン伝説展」。誕生四十年を迎えたテレビ番組のヒーローに当時、制作者たちが込めたメッセージや時代背景を読み解く。

 前衛美術家岡本太郎(おかもと・たろう)の美術館と、子供向け特撮番組の着ぐるみや模型の取り合わせは一見奇異だが、展示解説を見るとここにも意外な発見が−。

 ウルトラマンの口元は、国宝弥勒菩薩(みろくぼさつ)像と同様なアルカイックスマイルで「強者の余裕と慈悲の心」の現れ。怪獣の創造にはシュールレアリスムなど前衛芸術の手法や思考が生かされた、とか。

 同館の杉田真珠(すぎた・しんじゅ)学芸員は「ウルトラマンや怪獣には、西洋美術の流れと異なる手作りのオリジナル性があり、制作には多くのアーティストがかかわった。美術の観点で考えるべきだと思った」。

 ▽新たな面白さ

 両館とも集客は通常の美術展を大きく上回る。固定的な美術ファンとは違う幅広い年齢の人が、今までは気付かなかった作品の魅力に驚く声があちこちで聞こえた。

 行革で運営改善を求められている各地の美術館では最近、集客力のあるアニメや漫画の展覧会が年々増えている。美術界には「本来の役割を外れた企画が多い」といった批判もある。

 だが杉田さんは「多くの美術館に人が来なくなったのは、美術史の流れを見せる展示に飽きた、という観客の意思表示では」と分析。三好さんはアニメ研究の立場から「既成の美術の枠に入るかどうかより、絵画として優れているか、人の心を打つ作品かが大事でしょう」と指摘する。

 従来の美術界の主流とは異なる発想が、転換期の美術館に新たな面白さを生み出しつつあるのかもしれない。




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