| 2006年1月10日(火) |
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今年は中国革命の指導者・毛沢東(一八九三―一九七六年)の死後三十年。輝かしい革命伝説とともに、中国では今なお偉大な指導者とされているが、独裁者としての人間像を、新たな視点でとらえ直した本が昨秋から相次いで出版され、話題となっている。 ▽衝撃的 昨年十一月に発売された「マオ」(講談社)は、中国四川省出身で英国在住のユン・チアンさんが英国人の夫ジョン・ハリデイさんと共著。上下二巻、計千百ページを超える大作だ。 世界的ベストセラーとなった「ワイルド・スワン」では、文化大革命時代に自ら経験した紅衛兵や農村への下放、両親への迫害など波乱の半生を描いた著者が、毛沢東の親族や同僚、側近など数百人の関係者に取材。一方でロシア語に堪能な夫が旧ソ連時代の共産党関係の内部資料などを解読し、十年以上の歳月をかけて書き上げた。 現代中国でも毛沢東の誤りとされる文化大革命だけでなく、革命前の国民党との内戦時代や抗日戦争時にも、権力維持のため政敵を次々と粛清していく過程が詳細に描かれている。 抗日戦争では、国民党の〓(「草かんむり」に「將」)介石を倒すために日本軍を利用し、革命後は核兵器を開発するために、多くの食糧をソ連に輸出し、三千八百万人以上の中国人を飢饉(ききん)で死に追いやったと記す。 毛沢東の下で首相を務めた周恩来は、弱みを握られて奴隷のように使われ、晩年がんが見つかったときも手術をなかなか許可されず、死期を早めたという。中国人ならずとも衝撃的内容だ。 ▽真相は キャンペーンで来日したユン・チアンさんは「私が中国で会った人たちは、驚くほど率直に毛沢東について語ってくれた。この本は中国で出版されないだろうが、真相はいずれ明らかにされると思う」と語る。 このほか、十月に発売された「中国がひた隠す毛沢東の真実」(草思社)も、革命前から文革時代までの毛沢東を「専制君主」ととらえる。著者の「北海閑人」はペンネームで、北京在住の古参幹部だという。 アンチー・ミン著「マダム毛沢東」(集英社)は、文革後に失脚した四人組の一人で、毛沢東夫人として権力をふるった江青を描く。米国に住む著者は、江青の指導した革命劇の主役に抜てきされた経験を持つ元女優。 毛沢東に対する歴史的評価は、中国にとってデリケートな問題だ。天児慧(あまこ・さとし)早稲田大大学院教授は「マオ」について「描き方が性悪説的で、歴史の全体像としては疑問が残るが、軽視することはできないだろう。中国もすべての史料を開示して、客観的に毛沢東を研究する時期に来ているのではないか」と語る。 |