| 2012年2月10日(金) |
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野田佳彦首相をトップとする復興庁が10日発足、東日本大震災の発生から11カ月でようやく本格的な復興事業のスタートラインに立った。職員約250人の陣容だが、実態は他省庁からの「寄り合い所帯」で、主導権をめぐる綱引きも。被災自治体の要望を一元的に受けて迅速に対応し、被災者に寄り添う存在となれるのか。 ▽スピード認定 「とにかく早く。できれば復興庁の発足前に」 政府の復興対策本部事務局は9日、岩手県の「保健・医療・福祉特区」と宮城県の「民間投資促進特区」を“特区第1号”として認定した。 平野達男復興相は、自ら事務方にハッパを掛けて審査を急がせた。被災自治体の首長や野党から「対策が後手に回っている」と批判を浴び続けただけに、復興庁発足では迅速な仕事ぶりをアピールしたいとの思いがあった。 制度上、特区認定の可否を決めるのは申請から3カ月以内。担当職員が何度も地元に足を運んで調整を急いだ結果、岩手県の特区は正式申請から9日、宮城県の方は13日で認定にこぎ着けた。「いい意味で予想を裏切ることができた」と同庁幹部が自画自賛するスピード認定だった。 ただ、書類上で税制や許認可の特例を認める特区の審査と異なり、今後本格化する防波堤の整備など大規模事業や、集落の高台移転など住民の合意形成が必要な事業では、同様に進められる保証はない。 ▽張りぼて 「何回も言っているが、省庁の仕事にはどうしても隙間ができる。解消に努める」。10日午前、復興相就任直後の記者会見。「復興事業は各省の縦割りと批判されているのではないか」という質問を受け、平野氏はいら立ちをあらわにした。 ほかの省庁より格上の組織として司令塔役を期待される復興庁だが、インフラ整備を伴う具体的な事業のノウハウは国土交通省や農林水産省など事業官庁が握っており、復興交付金の審査などの実務も他省庁が担っている。 国交省のある中堅職員は、復興庁について「張りぼての役所。仕事をしているように見せ掛けている」と冷ややかに話し、指導力発揮には程遠い実情と指摘。平野氏自身も「やるべきことが多すぎる。ほかの役所の手に余る仕事が降ってくる」と周辺に漏らしている。 復興庁が他省庁に対して「勧告権」を持つとはいえ、強制力はなく、実効性は未知数だ。 ▽縦割り排除 役所同士の主導権争いも見え隠れする。前身の復興対策本部の発足時から「財務省や国交省などがポストの奪い合いを展開した」と政府関係者は明かす。復興庁初代事務次官の峰久幸義氏は国交省出身だが、復興予算を仕切っているのは財務省からの出向者。被災自治体からは早くも「(復興庁と事業官庁の)二重行政になる。各省庁と直接交渉した方が確実だ」との声も聞かれる。 野田佳彦首相は10日夜の記者会見で「役所の縦割りを乗り越えることが、被災地のために役に立つかどうかの肝だ」と強調。省庁の縦割りを排除して復興を加速すると意気込んだが、逆に復興庁の課題を浮き彫りにした格好だ。 (共同通信社) |