| 2012年2月10日(金) |
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欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合は9日、欧州債務危機の震源地ギリシャの財政再建に向けた姿勢に不信を抱き、同国向け第2次支援決定を見送った。市場は「ギリシャが債務返済停止を突如宣言する暴発的なデフォルト(債務不履行)に追い込まれる懸念は否定できない」(米大手銀行アナリスト)とし、依然世界経済の脅威だと警戒。危機克服に向けて、ギリシャ指導層の力量が問われる歴史的な局面を迎えた。 ▽瀬戸際外交 「緊縮財政に向けたさらなる改革は経済破綻と社会不安を引き起こす。その規模は欧州がここ数十年来、経験しなかったものになる」。2日付英紙フィナンシャル・タイムズによると、ギリシャ与党第3党の国民正統派運動のカラザフェリス党首はこう述べた。さらに「銃を突きつけて改革を強制することはできない」と付け加えた。 ギリシャは2010年5月に、EUや国際通貨基金(IMF)などによる最初の支援が決まって以来、単一通貨ユーロ圏から脱落する国が出ることだけは避けたいとの圏内各国の思惑を逆手にとって「瀬戸際外交」を展開。昨年は3万人の公務員削減を約束していたが、実際に減らしたのは千人以下にとどまるとされる。改革の遅れは誰の目にも明らかだ。 EU、IMF、欧州中央銀行の通称「トロイカ」との2次支援をめぐる交渉でも、ギリシャ政界は4月以降に実施される見通しの総選挙を意識し強硬路線にこだわった。 改革が進まなければ、財政赤字は制御不能に陥りかねない。 英国系バークレイズ・キャピタル証券によると、ギリシャの総債務残高の国内総生産(GDP)比率は11年末に161%と、09年末の129%、10年末の145%から急上昇。経済成長戦略を欠く中で緊縮路線を取れば、経済が疲弊し債務も削減できず、20年までに同比率を120%以下に抑えるトロイカのもくろみがはずれる恐れは強い。 ▽誤算 7日に公表された地元メディアによる最新の世論調査で、与党の中で緊縮策に最も距離を置く第2党、新民主主義党の支持率は31%でトップ。緊縮策を推進した最大与党、全ギリシャ社会主義運動の支持率は8%まで落ち込んだ。 「ギリシャが無秩序なデフォルトに陥り、ユーロから離脱しても、他のユーロ圏諸国は衝撃を乗り越えられる」。ギリシャにとって最大の誤算は、欧州最大の経済大国ドイツと並ぶ格付け最上位国オランダのルッテ首相が7日にギリシャのユーロ脱退に言及、「潮目」が変わってきたことだ。 昨年12月に欧州中銀が実施した銀行への巨額の資金供給が功を奏し、過度な金融不安はひとまず後退。もともとギリシャのデフォルトが恐れられていたのは、イタリアなどへの危機波及を懸念してのことだったが、イタリアの長期金利は「危険水域」とされる7%を大きく下回っている。 欧州外交筋は「依然として避けたいシナリオではあるが、以前と比べればギリシャのデフォルトやユーロ圏離脱をめぐる論議は、EU内でタブーではなくなった」と指摘。「瀬戸際外交」の限界が見え始めた。 ギリシャは15日に再度開かれるユーロ圏財務相会合までに、緊縮策の議会承認を取り付けた上で、民間債権者による債務削減でも合意を急ぎ、1300億ユーロ規模の2次支援実施の環境を整える必要がある。 3月20日の巨額の国債償還期限をにらみ、デフォルト回避のためにギリシャに残された時間は少ない。(ローマ、ロンドン共同=小西大輔、井手壮平) (共同通信社) |