| 2012年2月7日(火) |
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在沖縄米海兵隊のグアム移転見直しは、対中国戦略の再構築を急ぐ米政府が主導した。昨年11月下旬に打診を聞いた野田佳彦首相がゴーサインを出し、外務省を中心に「静かな協議」(玄葉光一郎外相)が始動した。防衛省には「置き去りにされた」(幹部)との不満もくすぶる。政府内の足並みの乱れは移転費負担をめぐる日米交渉に影を落としかねない。 ▽渡りに船 「良い方向に行くならやってみろ」。首相は玄葉氏から米側の新提案を聞き、即座に追認した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設のめどが立たない中、日米合意でセットと規定される海兵隊グアム移転を先行させる案は「沖縄側に負担軽減をアピールできる渡りに船」(官邸筋)の提案だった。 米側の新提案の背景には、西太平洋への海洋進出を図る中国軍の対抗策を練り直すと同時に、予算承認権限を持つ議会対策としてグアムの軍事拠点化の足かせとなる普天間問題に手を打たないといけないとの「焦り」(日米関係筋)があった。 辺野古移設が最善との立場は崩さないが、日本政府関係者は新提案の底流に「普天間は現状維持でも構わないとの本音がある」と指摘する。 「米国では普天間はFIFと呼ばれている。フテンマ・イズ・フォーエバー(普天間は永遠なり)だ」。米政府当局者は最近訪米した関係者に、普天間固定化やむなしとの考えをにじませた。 ▽ほころび 日本側は、米側と交渉する外務、防衛両省の連携がほころびを見せる。 「これからは防衛省も一緒にやる」。外務省幹部はグアム移転見直しが表面化した3日以来、玄葉氏の発信ばかりが目立つ状況を“反省”してみせた。 「移転先の地元と交渉するのはわれわれだ」と防衛省サイドに不満がたまっているのを意識しているからだ。防衛省側には2006年の在日米軍再編ロードマップ(行程表)の日米合意では当時の守屋武昌防衛事務次官がリードしたとの自負も見え隠れする。 とはいえ、防衛省は昨年11月以来、前沖縄防衛局長の不適切発言、一川保夫前防衛相の問責決議など「外交交渉どころでない状態が続いている」(幹部)。 就任直後から指摘された田中直紀防衛相の力量不足への懸念は日を追うごとに強まる。7日の記者会見では在沖縄米海兵隊の一部を米軍岩国基地(山口県岩国市)に移転させる米側の打診について「玄葉氏に確認したが、まだ日米間の議題には一切なっていないということだ」と述べ、交渉当事者として機能していない実情が浮き彫りになった。 ▽疑念あらわに 「国に不信感を抱いて いる」。岩国市を抱える山口県の二井関成知事は7日、頭越しの米提案に反発した。二井氏は防衛省に事実確認したが「協議の事実はない」との返答を得たと記者団に紹介。「そうは言っても、火のない所に煙は立たない」と政府側への疑念をあらわにした。 一方、沖縄県は「目に見える基地負担軽減が実現する」(幹部)と、嘉手納基地より南の米軍施設・区域の先行返還を歓迎。長島昭久首相補佐官は7日、那覇市内でひそかに又吉進知事公室長と会談し「普天間を固定化しないよう努力する」と強調、又吉氏は「早期に詳しい協議内容の説明を求める」と要請した。県側には「負担軽減が進めば、辺野古移転を早く受け入れろという圧力が強まるのでは」(別の幹部)との警戒感も消えていない。 (共同通信社) |