| 2012年2月2日(木) |
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業績不振が続くソニーはトップ交代で局面打開を図る。かじを握るのはハワード・ストリンガー会長兼社長(69)から社長を引き継ぐ平井一夫副社長(51)。強力なライバルがひしめく世界市場で再び「モノづくり日本」の威光を放つことができるのか。名門ブランドの再生は、ゲーム機など非主流の分野出身ながら頭角を現してきた若手経営者に託された。 ▽去った技術者 「立て直しは待ったなしだ」。2日、都内で記者会見した平井氏はテレビ事業の再建を最優先する考えを強調した。長らくソニーの稼ぎ頭だったテレビ事業は、韓国のサムスン電子などの攻勢に遭って8年連続の赤字が確実。ソニー再生の最大のテーマになっている。 だが先頭に立つ平井氏はデジタル家電分野の経験は乏しく、この日の会見でも具体策を打ち出せなかった。 ソニーは、次世代テレビと目される高精細な有機ELテレビを2007年に世界で初めて発売。だが11型と画面が小さく高価だったため鳴かず飛ばずに終わった。一方、サムスン電子とLG電子は大画面化に成功、年内にも投入する方針だ。 「優秀な技術者が次々と去っていった」。製品開発力が弱体化した背景として関係者が指摘するのはストリンガー氏が断行したコスト削減だ。同氏はこれまでに約2万6千人の人員削減を実施、工場閉鎖などを推し進めた。当面の業績を取り繕うことにはつながったが「抜本的な事業改革には至らなかった」(大手メーカー幹部)。 ▽阻止した居直り 「涙より笑いが多かった」。平井氏と並んで会見に臨んだストリンガー氏は自分がソニーを率いた7年間をこう振り返った。「つらいことより楽しいことの方が多かった」(周辺)ということを言いたかったらしいが、ソニー関係者の視線は冷たかった。 同氏はソニーが巨額純損失に陥った11年3月期、総額約8億6300万円の報酬を手にしていたことが分かり、株主から退陣を求める声が噴出したこともあった。 期待されたのは米国のテレビ局経営で好業績を上げた手腕だった。だがテレビプロデューサーとしての実力は「結果として、巨大メーカーの経営改善に役立ったとは言えない」(ライバル社幹部)。 ストリンガー氏は当初、社長の座だけを平井氏に譲り、自身は会長兼最高経営責任者(CEO)にとどまって引き続き経営を主導しようともくろんでいた。それを阻止したのは有力な社外取締役。経営の第一線から実質的に退くよう説得した。1日のトップ人事発表のギリギリまで攻防が続いたという。 ▽原点に ソニーの再生は、かつて一世を風靡(ふうび)した携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」のような独創的なデジタル家電を市場に出せるかどうかにかかっている。だが今、世界の消費者を驚かせているのは米アップルだ。そのアップルもテレビ市場に参入するとの観測もある。 平井氏は「製品開発を阻害し、ソニーを過去のぬかるみにとどまらせている会社の構造を変える」と米紙のインタビューに答えている。それは、創業者の故井深大氏が起草した設立趣意書にある「自由闊達(かったつ)にして愉快なる理想工場」を取り戻すことと重なる。 (共同通信社) |