| 2008年1月8日(火) |
|
|
日米の政界、防衛産業に太いパイプを持つとされる「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀専務理事(58)が八日、参院外交防衛委員会の参考人質疑に出席。防衛商社「山田洋行」からの資金提供や口利きなど自らの疑惑はことごとく否定する一方で、有力国防族議員や元米国高官らとの親交を口にした。初めて表舞台に登場した防衛利権の裏側を知る「フィクサー」は、その片りんをうかがわせた。 ▽大名行列 秋山氏が注目されるのは二〇〇三年十一月、東京・永田町の憲政記念館で「日米安全保障戦略会議」を開いたころからだ。翌月に閣議決定されるミサイル防衛システム導入を前に、ロッキード・マーチンやレイセオンなど米防衛産業のブースに迎撃ミサイル「SM3」などの実物大模型が並び「まるで兵器の見本市だった」と関係者は言う。 戦略会議には、防衛庁長官だった石破茂防衛相や自民党幹事長代理だった久間章生元防衛相、コーエン元米国防長官らの姿もあった。 毎年のゴールデンウイーク、秋山氏は与野党議員を率いて訪米して戦略会議を開催。米政府要人や軍需産業首脳との会談も行われた。ワシントンでは日本大使館職員に大量のワインやネクタイを運ばせるなどし、職員の一人は「わたしは秋山氏の使用人ではない」とこぼしたこともある。 議員の負担は一人二十万円前後とされ、関係者は「飛行機はファーストクラスで宿泊は高級ホテル。足りるわけがない」。参加した自民党議員は「貴重な研修の場だった。全額自費負担では参加できなかった」と話すが、周囲からは「大名行列」とやゆされた。 ▽ロビイスト この日の参考人質疑では、秋山氏と親交がある人物として、交流協会の理事であるコーエン氏やシュナイダー元米国務次官のほか、弁護士で「共和党系ロビイスト」の故ジョン・カーボー氏の名前も挙がった。カーボー氏は、米国の防衛産業側に立ち、日本に兵器売り込みを図ったとされる人物。ある防衛関係者は「日本でカーボー氏のような役割をしているのが秋山氏だ」と指摘する。 「金の詳しい流れこそ出なかったが、日米にまたがる防衛利権の闇が浮かび上がってきた。それが国会の場で語られたことは興味深い」。垣間見えた秋山氏人脈を、軍事評論家の前田哲男氏はこう表現した。 ▽専従捜査班 秋山氏は、額賀福志郎財務相、防衛関係企業の経営者と数回、宴席を共にしたと述べたが、具体的な内容は明らかにならなかった。金丸信元自民党副総裁や航空自衛隊出身の田村秀昭元参院議員らの名前も出たが、いずれも故人。委員側の追及材料の不足もあり、質疑は疑惑解明から程遠いとの印象はぬぐえない。 「秋山氏は、表看板の日米交流の裏で闇に包まれた人物。その実像を知っているのは恐らく久間元防衛相、額賀財務相の二人ぐらいだ」と、秋山氏と距離を置く自民党国防族議員。野党各党は「さらに疑惑が深まった」(民主党の山岡賢次国対委員長)として証人喚問を求める構えだが、自民党内には「山田洋行のように内部分裂が起きない限り、秋山氏の活動の実態は表面化しないだろう」(中堅議員)との見方も出ている。 守屋武昌前防衛事務次官の汚職事件に切り込んだ東京地検特捜部は年末年始の休みを返上、既に交流協会周辺に対する専従捜査班を設けた。政界を見据え、防衛利権の解明が続く。 |