| 2006年12月4日(月) |
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発展を続けるインターネット事業を想像させるような社名を使い、IP電話事業への投資として多額の資金を集めた「近未来通信」。警視庁が四日、詐欺容疑で強制捜査に着手、通信事業者としてのあきれた実体も浮き彫りになり、投資家が夢見た「事業の成功」は崩れ落ちた。 ▽実体 「近未来通信という会社は、絶対に倒産はあり得ない」 国税庁が所得隠しを指摘したことが発覚した後の今年九月、東京都千代田区の貸会議室で開いた説明会。役員は約三百人の投資家を前に「ほかの業者にはできない優れた技術、最先端の機械を使っている」と豪語した。 しかしそのわずか二カ月後、本社などが突然閉鎖。この役員も会社を去った。東京都中央区のビル十四階の本社には、強制捜査が入った際にも「本社の営業は継続していきます」との張り紙がむなしく残されていた。 総務省は、二〇〇五年の総売上高約百八十一億円のうち通信事業の売上高提出を指示。社員が資料をかき集めてはじき出したのは、たったの「約三億円」だった。 投資家が購入したとされるサーバー二千四百六十六台のうち稼働していたのは七台だったことも判明し、同社の実体が徐々に明らかに。KDDIなどから回線使用契約も打ち切られ、IP電話サービスも停止した。 総務省幹部は「通信事業でもうけるつもりがないから、通話料が安かったのではないか。まともな事業者ではないが、回線利用者にとっては安くていいサービスだったと言える」と皮肉る。 ▽被害者 今月二日に東京で開かれた被害者説明会に全国から集まった投資家の数は約七百人。「日を追うごとに、状況の深刻さが明らかになってくる」。会場は人があふれ、座席脇の通路に座り込む姿も見られ、被害対策弁護団を驚かせた。 「中継局オーナー」としての最低契約額は一人当たり約一千万円。投資家には中高年男性が目立つ。「直接勧誘した従業員の提訴は」「広告を掲載したマスコミの責任は問えるのか」などという厳しい声が飛び交った。 弁護団によると、集めた投資総額は約三千人から約四百億円とされるが、正確な数ははっきり分かっていない。問題発覚当初、「九百人から二百億円」と説明していた役員も、ほかの役員と同様に辞任。残った石井優(いしい・まさる)社長も雲隠れの状態だ。 ▽詐欺 石井社長の知人は「最初から詐欺目的だったのかは、今でもよく分からない」と首をかしげる。同社のIP電話事業はメディアで「高音質」ともてはやされた。関係者によると、投資家の約四割は投資金を上回る配当を得ていたという。 警視庁もこうした事実を把握し、当初詐欺容疑での事件化に慎重だったが、被害者らからの申告を受け「事件の見極めがついた」(警視庁幹部)と捜索に踏み切った。今後は押収した資料を分析、石井社長らの刑事責任を追及する。 投資名目の巨額詐欺事件は、古くは金のペーパー商法の豊田商事、抵当証券を販売し千百億円を集めた大和都市管財、高配当をうたい金を集めたジー・オーグループなど後を絶たない。 目新しい「商品」を紹介して投資意欲をあおり、最初は一部投資家に高額の配当を払って信頼させ、さらに投資を募る特徴が共通する。 IP電話に高額配当。近未来通信のケースもまさに当てはまる。弁護団長の紀藤正樹(きとう・まさき)弁護士は「詐欺でないという証拠を見つけるほうが難しい。徹底的に追及していく」と言い切った。 |