2006年11月10日(金) 東奥日報 特集

断面2006

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■ タウンミーティングのやらせ問題/教基法採決に「拙速」批判

 いじめ自殺や必修科目の未履修問題に続いて教育改革タウンミーティングでの「やらせ質問」が発覚し、文部科学省への風当たりが強まっている。教育基本法改正に賛成する発言の依頼には政府内でも批判が続出。改正案は来週にも衆院通過の見通しだが、混乱が続く中での採決は拙速だと指摘する声も出始めた。

 ▽質問項目案

 九月二日の青森県八戸市。約四百人が参加したタウンミーティングの会場は、座りきれない参加者のために係員がパイプいすを用意する盛況ぶり。参加者との質疑で、主婦を名乗った女性が指名された。

 「教育の原点は家庭教育。新しい基本法には家庭教育の規定があり、期待している」。実は文科省が用意した質問項目案と一致する内容だった。この日の質問者は十人。うち二人の発言がやらせだったとみられている。

 この問題が取り上げられたのは今月一日の衆院教育基本法特別委員会。「まさにやらせ行為そのもの」。そう迫る共産党の石井郁子氏に、内閣府の土肥原洋総括審議官は「活発な意見を促すきっかけをつくろうとした」と釈明。

 内閣府が九日に提出した調査資料によると、これ以前の七回のタウンミーティングのうち四回は、政府側が質問案を地元の教育委員会に送っていたことも判明した。

 ▽厳しい視線

 教育基本法改正という「大仕事」がヤマ場を迎える中、相次ぐいじめ自殺の発覚や全国に広がった高校の必修科目未履修問題の噴出で揺れる文科省。やらせ問題は法改正のプロセスにかかわるだけに、より深刻な打撃といえる。

 「ようやく(改正案の)衆院通過かと思っていたのにタイミングが悪すぎる」。連日の国会対応や未履修、いじめへの対策で疲れ切った文科省幹部は充血した目で嘆く。「あちこちで火の手が上がり今や省全体が燃え盛っている。一カ月前にこんな状況は想像もしなかった」

 「事前に調整するのは行き過ぎ」。やらせ問題で閣僚からも批判が相次いだ。首相官邸には安倍晋三首相をはじめ下村博文官房副長官、山谷えり子首相補佐官ら文部行政に批判的な議員が少なくない。調査結果によっては新たな政局の火種になる可能性もあり、文科省への視線は厳しい。

 ある文科省幹部は改正法案の行方について「このまますんなりいくのだろうか」と懸念を示す。

 ▽徹底抗戦

 「改正法案の採決前に解決しなければならない課題が次々出ている。特に、タウンミーティングのやらせ質問は厳しく追及すべきだ」。来週中の採決を目指す与党側に対し、野党各党は十日の国対委員長会談で徹底抗戦の方針で一致した。

 共産党の志位和夫委員長は九日の記者会見で「やらせ質問は改正案の提出資格が問われる問題。主犯・文科省、実行犯・内閣府という共犯の構図が浮かび上がった」と述べ、文科省の責任を厳しく問う姿勢を強調した。

 これまで地方公聴会にも出席している東大大学院の高橋哲哉教授は「いじめや未履修も含め、一連の問題は教育基本法の内容と大きくかかわっている。政府や文科省の責任が問われる中で、問題をうやむやにしたまま法案を通すのはあまりにも拙速だ」と話している。




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