| 2006年2月18日(土) |
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日本映画が元気だ。昨年は「NANA」「電車男」など興行収入三十億円を超すヒット作が続出し、全国の映画館は今春にも三千スクリーンを突破する勢い。シネマコンプレックス(シネコン)の増加で一部のヒット作に観客が集中する半面、製作本数の急増から公開の目途が立たない作品も増えてきた。日本映画は復活したのか、それとも一時的な“バブル”なのか−。 ▽安定した人気 「邦画は非常に順調。映画界には、十数年前とは比べものにならないほど熱い目が注がれている」。一月末に開かれた昨年の映画概況発表会見で、日本映画製作者連盟(映連)の松岡功(まつおか・いさお)会長は胸を張った。 映画全体の興行収入が千九百八十億円と前年割れしたにもかかわらず、日本映画は3.4%増で八年ぶりにシェア40%台を回復。一昨年末公開の「ハウルの動く城」を除くと百億円規模のメガヒットはなかったが、ヒットの目安とされる十億円以上の作品は昨年より約三割増え、安定した邦画人気を裏付けた。 好調を後押ししているのが、一つの建物に五つ以上のスクリーンを持つシネコンの増加だ。多くはショッピングセンターなどと連動した複合型施設で、きれいな劇場や最新型設備で若い観客を集めている。 映画黄金期の一九六〇年には七千五百館近い映画館があったが、九三年には千七百三十四スクリーンにまで減少。だがこの年、日本初のシネコンが誕生すると各地で建設が相次ぎ「今年三月には七〇年以来となる三千スクリーンに達するのが決定的」(松岡会長)という。 ▽復活の理由 日本映画の人気が復活しているのはなぜか。「シネコンの普及と、視聴率競争にさらされたテレビ局が映画製作に乗り出した時期が重なった。日本映画は若者の求めるデートムービーになったのです」と話すのは、キネマ旬報映画総合研究所の掛尾良夫(かけお・よしお)所長。 その結果、テレビ局との提携に積極的だった東宝にヒット作が集中。昨年の興行成績上位十本のうち「交渉人 真下正義」など九本が同社配給作品で「日本映画が頑張ったといっても、ひとえに東宝さんにおんぶに抱っこ」(岡田裕介=おかだ・ゆうすけ=東映社長)という状態だ。 複数のスクリーンで上映作品を自由に組めるシネコンの形態は興行収入の格差拡大を助長。「勝ち組はどんどんスクリーンが増え、負け組は一日一回上映。大手以外の出口(スクリーン)獲得は厳しくなっている」(掛尾所長)という。 にもかかわらず「日本映画の時代だ」とばかりに、製作本数は急増中。昨年は前年比15%増の三百五十六本が公開され、今年も洋画配給会社や広告代理店などの新顔が製作に乗り出している。 ▽いびつな形態 「こんなに作ってどこでやるの、というくらい映画が多い。作るほどに損する会社も出てくるのでは」と危惧(きぐ)するのは角川映画の黒井和男(くろい・かずお)社長。「公開されていない映画が今も八十本ぐらいある半面、一握りの映画がものすごく観客を動員している。日本映画がいびつな形態なのは事実だ」 ヒット作の興行成績の数字が踊り、ブームに乗って「取りあえず製作」した映画が増えていく現状を“邦画バブル”と呼ぶ映画関係者は少なくない。「数だけ増えても駄目で、一本あたりの興行収入を上げることが重要」と掛尾所長は指摘する。「このままではインディペンデント(独立系)は苦しくなるばかり。映画を作りっぱなしではなく、上映や資金回収まで全体を見渡せるプロデューサーが必要でしょう」 シネコンが数少ない作品で占められている状態では、豊かな映画文化が育たないのは明らか。多様性をいかに確保するかが、今の日本映画に問われている。 |