2005年9月14日(水) 東奥日報 特集

断面2005

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■ 在外選挙権訴訟で最高裁が違憲判決/国の怠慢、厳しく指弾

 衆参の比例代表選挙に限定している公選法の在外投票規定を違憲とした十四日の最高裁大法廷判決は、正当な理由なく在外邦人の選挙権行使を制限してきた国の怠慢を厳しく指弾した。政府は即日、二〇〇七年夏の参院選までの法改正を表明。鈍い対応に活を入れられた格好だが、インターネットをどう活用するのかや海外選挙区の創設など新たな課題の解決も迫られている。

 ▽消えた野党案

 「米カリフォルニア州ではサンフランシスコとロサンゼルスの公館でしか投票ができない。北海道と鹿児島県の間で二カ所しか投票所がないようなものだ」。判決後の原告団会見。若尾龍彦事務局長はあきれ顔で、問題点の一端を指摘した。

 郵便投票を選んだとしても、在外選挙人名簿の登録申請から投票の完了までは、選管と在外有権者の間で書類が五回も海を渡ることになる。

 現在の制度につながる議論が活発化したのは一九九〇年代初め。

 政府・与党側は早くから比例代表選挙に限るとの方針を打ち出したが、新進党と太陽党(いずれも当時)は九七年、補欠選挙を除き選挙区選挙も含めて実施すべきだとする共同案を発表。最終的には翌年「速やかに全選挙を対象とする」と付帯決議し、決着した経緯がある。

 それから七年。抜本的な法改正の動きは何ら進まなかった。なぜか。総務省や外務省は候補者情報の周知や選挙公報配布の困難さ、十分な投票スペース確保の難しさなどを引き合いに出し、理由を説明してきた。

 だが今後は、参院選までの二年弱でこれらをクリアし、公平性を保たなければ選挙無効の訴訟を起こされかねない。総務省選挙部は「立候補届け出の状況や各候補の政見をどこまで伝えるかが問題」。また同省幹部は「補欠選挙など地域が限定された選挙のために全世界の在外公館に投票所を開設できるのか」と漏らす。

 ▽地方選挙OK

 主要国のほとんどは八〇―九〇年代に在外投票制度が整備された。日本と並んで最も遅れていたイタリアも二〇〇一年に在外投票法が成立した。選挙制度の違いなどもあり、投票資格や投票できる選挙、投票方法はさまざまだ。

 フランスでは、一部に海外選挙区の制度が取り入れられている。まず在外国民が直接選挙で在外フランス人高等評議会の評議員を選び、その評議員が上院議員を選ぶ仕組みだ。ノルウェーでは地方選挙でも在外投票が認められている。

 約四百万人の国民が海外に住むといわれる韓国。日本にも六十一万人近くの在日韓国・朝鮮人がいるが、韓国では在外投票が一切認められておらず、訴訟も起きている。

 在日本大韓民国民団(民団)の徐元附総ロ局長は「わたしたちには何の権利もない」と嘆く。

 ▽簡単な投票を

 選挙権を持つと推定される在外邦人は約七十二万人。山梨県や佐賀県の有権者に匹敵する数だ。選挙区での投票を可能にする今回の大法廷判決は朗報だが、それ以上に、煩わしい事前の選挙人名簿登録手続きや、郵送や在外公館での投票方法など、制度自体の大幅な改善を望む声も強い。

 香港在住十五年の樫村富士夫さん(42)は「判決は当然のこと。うれしい」としながらも「周囲を見回すとこれまで実際に投票した人は決して多くない。カナダなどで実施されているインターネット投票を早急に実現してほしい」と話す。

 在外有権者ネットワーク・オーストラリア(解散)の元代表でシドニー在住の保坂佳秀さん(72)は「長い目で見れば、投票が簡単という点で、海外の選挙区をつくった方がいい」と提案している。




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