| 2001年12月16日(日) |
|
|
山形県酒田市の酒田短期大学(稲本洋之助学長)に十月から入学予定だった中国人留学生二百六十五人について、仙台入国管理局が「入学定員を超えている」として在留資格認定を拒否し、留学生の進退が宙に浮いている。同じグループの福岡県内にある専門学校でも約千二百人の中国人留学生が入国を拒否された。 酒田短大の在校生は三百五十二人のうち三百三十九人が中国人。うち約二百人が登録する東京の教室は十七日で授業が中止され、行き場を失う留学生もいる。少子化を背景に経営難に苦しむ地方短大が打った手が教育の国際化に暗い影を落としている。 ▽途方に暮れる 東京・神田の雑居ビル四階。約五十七平方メートルに二十席の部屋が「サテライトスタジオ」と呼ばれる。酒田短大が東京で生活する学生の遠隔授業のために開設。だが教室のいすは半分も埋まらず、本校の授業を録画したビデオ映像が中型テレビから繰り返し流れる。 「吉林省で『勉強も仕事もできて、見聞も広められる』と聞いて入学した。ビデオの授業で何を学べというのか」と、中国の四年制大学で会計学を学んだという男子留学生(23)。 別の学生(28)は「父母が持たせてくれた四十万円は底をついた。このままでは来年の学費七十万円が払えない」と途方に暮れる。留学生たちはJR中央線沿線などのアパートで三、四人が共同生活。建設現場などで週五日から六日、一日五時間ほど働いている。 ▽不法滞在の恐れ 東京の教室は十七日で授業を打ち切り。酒田短大は登録学生に対し来月七日までに本校に戻るよう指示、従わない学生については除籍も検討するが、相当数の留学生の行方がつかめておらず、このままでは「不法滞在」が大量に発生する恐れもある。 酒田短大は一九六六年創設。学生数がピークとなった九三年には六百五十六人の学生がキャンパスを埋めた。ところが旧経営陣の乱脈経営もあって学生数は年々減少。昨年には六十八人にまで落ち込んだ。 文部科学省などによると、九一年に約四十六万人いた全国の私立短大生は今年は約二十六万人。今春、新入生が「定員割れ」した私立短大は全四百四十九校の半数以上に及ぶ。 酒田短大は再建の切り札として昨年から中国・吉林省で入学試験を実施した。が、その際「申し込み時に仲介人に七万円を渡した」と話す学生もいる。 ▽学園に警鐘 東京の教室は東京入管も十一月末、入管難民法違反容疑で立ち入り検査。文科省は短大の認可取り消しについて「抜くには重すぎる伝家の宝刀」と二の足を踏むが、ある教員は「今後存続できるのか不安だ」と漏らす。この事態に室鋭三郎事務局長は「再建を優先して多くの留学生を受け入れてしまったことを反省している」と弁明している。 しかし、経営難に直面する大学側のもくろみが留学生を混乱に陥れ、これが犯罪につながるケースも増加している。欧米主要国に比べ受け入れ数が少なく、留学生十万人計画を進める文科省は「基本的に留学生受け入れは歓迎だ。だが選抜の見極めと学生管理はしっかりしてほしい」と、全国の学園に警鐘を鳴らしている。 |