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  • 2017年9月6日(水)

夜間保育の現場、映画に/3万人が利用、偏見払って/親子や職員の姿追う

 働く女性やひとり親家庭の増加を背景にニーズが増える夜間保育園を舞台にしたドキュメンタリー映画「夜間もやってる保育園」が9月下旬から東京を皮切りに全国で上映される。夜間保育といえば、かつて劣悪な場所に乳幼児を詰め込む「ベビーホテル」が問題となり、夜働く親に対する偏見も根強く残る。利用する子どもは全国に3万人以上。「ありのままを知ってほしい」。そんな現場の思いが詰まった作品だ。

 新宿・歌舞伎町から北に約1キロ、コリアンタウンを抱える新大久保にある「エイビイシイ保育園」。全国でも珍しい24時間対応の認可保育園で、約90人が通う。生後1カ月半から利用可能で、残業が多い女性官僚、生活のために夜の仕事に就くシングルマザー、夢をかなえるため来日した外国人夫婦など、保護者の職業はさまざまだ。

 子どもたちは夕食を食べて職員に風呂に入れてもらうと、午後8時ごろにはふとんで寝息を立て始める。お迎えの時間はばらばらで、真夜中や明け方に寝ぼけ眼のわが子を抱えて家路を急ぐ親の姿も。映画はこうした子どもたちの日々の暮らしや働く親の姿、支える職員たちの姿を追った。

 制作のきっかけは、大宮浩一(おおみや・こういち)監督に届いた一通の手紙。「夜間保育が必要な家庭は多いのに認可保育園が増えない。リアルな姿を伝えてほしい」。大宮監督の作品を見た同園の片野清美(かたの・きよみ)園長からだった。保育の世界を知らない監督にとっては唐突な依頼だったが、熱意にほだされた。

 国の保育制度ができても夜間の利用は想定されておらず、雑居ビルの一室などで子どもを預かる無認可の託児所が受け皿になった。だが保育士資格も不要で行政のチェックも届かないため、一部で子どもを放置し寝かせるだけといった業者が急増。1980年ごろには死亡事故も相次ぎ、「ベビーホテル問題」として国会でも取り上げられた。

 大宮監督が当初思い浮かべたのもこの負のイメージ。だが撮影に入ると、現場は違った。子どもが安心して過ごせるよう腐心し、悩み葛藤する親にそっと寄り添う職員。生きるため、夢のために働き、子どもとも懸命に向き合う親たち。「もっと知りたい」と、北海道や沖縄、新潟の夜間保育園も訪ね、撮影を重ねた。

 国は81年、夜間保育でも人員などの基準を満たせば認可するよう制度を改めた。だが約40年たった今も認可を受けた施設は全国約80カ所止まり。一方、認可外は約1600カ所ある。「なぜ行政のお墨付きをもらわないのか」。認可外施設も取材し疑問をぶつけ、背景にある事情も探った。

 「夜間保育園がない社会が健全じゃないかという思いも残る。でも必要としている親子が現実にいる」と大宮監督。片野園長は「こうした親子や私たちの思いに共感し、後に続く人が少しでも増えれば」と話す。

(共同通信社)

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