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  • 2015年9月10日(木)

道路中央をバスすいすい/国内唯一、名古屋で30周年

 名古屋市交通局の「基幹バス新出来町線」は道路中央の専用レーンをバスが走る。国内で名古屋市だけの中央走行方式は、ことしで運行開始30周年。地下鉄などより低コストで導入できる上、渋滞の影響を受けずに定時運行できるのが特徴だ。海外の都市ではバス高速輸送システム(BRT)の一つとして導入が進むが、国内ではなかなか浸透していない。

 ▽渋滞知らず

 道路中央のカラー舗装の上を、バスがすいすいと走り抜ける。全区間10キロのうち、専用レーンは9.2キロ。バス停も道路の中央にある。朝夕の通勤時間帯は一般車が進入不可になるため、渋滞とも無縁だ。

 鉄道整備が進んでいなかった名古屋市は1985年4月、地下鉄に代わる公共交通として中央走行方式を導入。歩道寄りを走るのに比べ、左折車や駐停車車両の影響を受けないため、終点までの平均所要時間は43分から30分に短縮した。

 市によると、導入費用は約32億円。既存の道路を活用し、地下鉄を新設した場合の50分の1で済んだ。利用者数も導入前の1日約2万人から一時は約2万4500人まで増加。赤字はこれまで3年だけの優良路線だ。

 名古屋大大学院の加藤博和(かとう・ひろかず)准教授(公共交通政策)は「30年前としてはかなり先駆的なBRTと言える。安くて比較的簡単に導入できるため、世界の都市に広がっている」と指摘する。

 ▽各地で活用

 加藤准教授によると、ブラジルの都市クリチバは世界に先駆けて72年に中央走行方式を導入。複数連節のバスが地下鉄のように乗り換え網を形成し、1日50万人以上が利用する。2004年導入のジャカルタでは専用レーンの総延長が100キロ超。他に北京やイスタンブールなど取り入れた都市は数十に上る。

 ところが、国内では新潟市が導入を検討している程度。名古屋市の担当者は導入が進まない理由を「最低でも幅25メートルの広い道路が必要なためではないか」とみる。

 一方、加藤准教授は「独特の道路配置に安全性への懸念が強いため」との見方だ。名古屋市でも一般のドライバーが戸惑うとの指摘があり、市と警察が進路別の矢印信号や専用レーンのカラー舗装化を講じるなど対策に当たっている。

 ただ、中央走行方式ではないものの、専用道を利用したBRTは東日本大震災の被災地で活用が進む。国土交通省の担当者は「BRTという言葉とともに、バス交通の価値が見直され、街づくりに取り入れる例が増えている」と話している。

(共同通信社)

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