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  • 2017年10月2日(月)

希望の党・選挙戦略/加速する小池劇場/全国浸透へあの手この手

 新党「希望の党」代表の小池百合子東京都知事は衆院解散から一夜明けた29日、世間の耳目を集める選挙戦略を矢継ぎ早に打ち出した。民進党前衆院議員らの合流を巡り「排除」を宣言。「民進丸のみ」拒否をアピールし、日本維新の会とも協力を図る戦略だ。愛知県、大阪府知事とも連携し、全国への浸透を狙う。あの手この手で加速する劇場型政治に、自民党は防戦気味だ。

 ▽過激発言

 「前原誠司民進党代表がどう表現したかは承知しないが、排除しないのではなく排除する」。小池氏は29日午後、都庁での記者会見で明言した。

 希望者全員の参加を求める前原氏と、小池氏は同日朝の会談で「固い握手を交わした」(前原氏)ばかりだった。

 保守を掲げる小池氏は憲法改正や安全保障政策で踏み絵を迫る考え。民進出身者が丸ごと参加すれば「第2民進党」と批判される。主体性を確保するため、発言は激しさを増す。周辺は「メディアが飛びつくという思惑もある」と打ち明ける。

 希望の党の細野豪志元環境相が28日夜、菅直人元首相らの参加を認めない意向を示したのも、事前に小池氏と相談した上だったとされる。

 民進、希望の実務者による候補者調整も29日、始まった。民進党では、「公認申請書」の提出依頼のメールが関係者に送られたが、約2時間後に破棄の指示が出るなど混乱する一幕もあった。「本当に選別されるのか」。幹部には不安を募らせる関係者からの電話が引きも切らない。

 ▽野望

 ターゲットになるとみられるのはリベラル系だ。安倍政権下での改憲に否定的な枝野幸男代表代行は、先手を打って無所属での立候補の検討に入った。前職が5人以上集まれば、新党結成の可能性もある。かつて社会党王国と呼ばれた北海道の逢坂誠二氏も「無所属でやりたい」と表明した。

 小池氏は新党結成を妨害するため、10月10日の衆院選公示ぎりぎりまでこうした前職の公認を引き延ばし、最後に排除するとの見方もあり、神経戦が続きそうだ。

 小池氏は次なる一手も繰り出した。会見で、30日に大阪市で日本維新の会代表の松井一郎府知事、大村秀章愛知県知事と会談すると発表。「3都物語」を銘打ち「地方分権、しがらみのない改革、成長戦略で連携を進める」とぶち上げた。

 希望の党は東京以外で、組織が脆弱(ぜいじゃく)なことが弱点だ。前原氏の「東京と大阪で弱い政党が政権を担うのは難しい」との考えを共有する小池氏は、関西を地盤にする日本維新と大阪を中心に候補者のすみ分けを狙う。大村氏は、新党からの出馬が取り沙汰されている。

 希望の党関係者は「プライドの高い小池氏が大阪まで行くのは採算が取れると踏むからだ。希望の党が、小池氏の『野望』の党になりつつある」と漏らした。

 ▽既定路線

 「候補者も政策も全く決まっていない。未来に向けて何も示していない」。自民党の岸田文雄政調会長は29日、党本部で記者団に語気を強めた。希望の党の態勢が整わない中、自民、公明両党は政権与党としての安定性を有権者に訴える構え。

 政府、自民党からは「小池氏は国政に出てくると思う」(菅義偉官房長官)との発言も相次いでいる。小池氏がサプライズで国政に打って出て、一気に世論の関心を引き寄せる作戦を取るとみて「あらかじめその芽を摘んでおく」(党関係者)狙いからだ。

 小池氏出馬は既定路線だと断言する自民党幹部はこう続けた。「知事を辞めるのも無責任。国政に出ないのも無責任。いずれにしろ批判できる」

(共同通信社)

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