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  • 2017年9月29日(金)

衆院解散/誤算の与党、漏れる焦り/新党、野合批判回避に腐心

 衆院が解散され、10月10日公示、同22日投開票の衆院選が事実上スタートした。安倍晋三首相(自民党総裁)は与党有利のタイミングを計り電撃解散を打ったはずが、小池百合子東京都知事率いる新党「希望の党」に民進党が結集する誤算に見舞われた。首相と、勢いを得た小池氏の対決構図が固まり始めた選挙戦。与党では一転して焦りの声が漏れ、希望の党は「選挙目当ての野合」批判の回避に腐心する。

 ▽百八十度

 「1990年代の新党ブームの結果、政治は混乱し、経済は長い低迷に突入した。ブームから希望は生まれない」。解散当日の28日夕、首相は東京・渋谷の街頭で語気を強めた。92年に日本新党から政界入りした小池氏を意識し、新党名をもじって批判を浴びせた。

 与党内には希望の党に対し「看板を替えても、選挙に出てくるのは同じ顔だ」「小池氏の狙いは結局、民進党の組織と金だ」と批判が渦巻く。

 しかし、強い言葉の裏に見え隠れするのは焦りだ。1週間前「解散の絶好のチャンスだ。今しかない」と首相の判断を歓迎した自民党若手は、この日「経験のない難しい選挙になりそうだ」と認識を百八十度変えた。

 2012、14年実施の最近2回の衆院選は1強多弱の戦いとなったが、今回は風向きが違うと感じ取っているからだ。

 首相自身も神経質になっている様子がうかがえる。前回解散では表明時と3日後の解散時に記者会見。今回は25日に解散表明の会見をしたが、28日は数分、記者団の囲み取材を受けるにとどめた。自民党関係者は「小池氏関連の質問が出て新党がクローズアップされるのを避けた」と分析した。

 ▽窮鼠

 自民党ベテランは「窮鼠(きゅうそ)猫をかむ。野党を甘く見過ぎていた。首相は後悔しているだろう」として、首相の解散判断を失敗だったと振り返る。

 思い出されるのが7月の都議選だ。小池氏率いる「都民ファーストの会」が公明党と組み、自民党は惨敗を喫した。

 首相は28日、不安を打ち消すように異例の気遣いを公明党に示した。解散直後に国会内で公明党の両院議員総会に出席し「風雪に耐えた自公連立政権の力を今こそ共に発揮していこう」と呼び掛けた。夕方には山口那津男代表と共に街頭演説に臨んだ。雨の中の演説が終わると、手をつないで結束をアピールした。

 ▽排除の論理

 「船の乗り換えではないから、そっくり受けることはない」。小池氏は28日のテレビ番組でこう訴え、「民進丸ごと」の受け入れを否定した。「選別」を強調するのは「究極の野合」という批判をかわしたいためだ。

 希望の党の細野豪志元環境相は28日夜、菅直人元首相、野田佳彦前首相を念頭に三権の長経験者の参加を認めない考えを明らかにした。

 こうした「排除の論理」は96年の旧民主党結成の際に、新党さきがけ代表や官房長官を経験した武村正義氏に取られた。清新なイメージをつくるため、「古い党の象徴」を切る手法だ。旧民主党結成時に鳩山由紀夫氏と共に代表に就いた菅氏が、皮肉にも同じ目に遭う形となった。

 小池氏は「保守」を掲げており、今後、憲法改正などへのスタンスが選別の踏み絵になりそうだ。一方、希望側は民進の地方組織や連合の集票力を手に入れることになる。民進党から先に新党に移った前衆院議員はこう打ち明けた。「実現したいと思っていた形通りに出来上がってきた」

(共同通信社)

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