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  • 2017年9月19日(火)

北朝鮮が核配備言及/米国民低い関心、容認論も/日本、核温存シナリオ警戒

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が核弾頭の実戦配備に言及した。しかしトランプ米政権は軍事行動にも対話にもかじを切れずに手をこまねき、国民の関心も低いままだ。米専門家の間では、北朝鮮を核保有国と認め交渉に臨むべきだとの容認論も。日本政府は武力衝突を懸念する一方、北朝鮮の核兵器が温存されるシナリオを警戒する。

 ▽10ポイント上昇

 「軍事的選択肢がないと言う人たちに言いたい。今は望んでいないが、軍事的選択肢はある」

 中距離弾道ミサイル「火星12」を再び日本上空を越えて発射した北朝鮮を巡り、マクマスター米大統領補佐官は15日の記者会見でこう強調した。

 北朝鮮は3日には水爆とみられる核実験を強行。調査会社ギャラップが15日発表した世論調査結果では、平和的解決が望めない場合、米国民の58%が軍事行動を支持。約15年前の47%から10ポイント超の伸びを見せた。

 ただ米メディアが4月に行った調査では、北朝鮮の位置を正確に回答できた米国民は36%にとどまった。米領グアムが北朝鮮ミサイルの射程に入っても、米本土への脅威と感じていない国民も多く、問題解決に向けた世論醸成は進まない。

 マクマスター氏の発言は北朝鮮に対する抑止力維持に加え、米国民の危機感の薄さを戒める狙いもあるとみられる。

 しかし「北朝鮮のミサイルや核施設を壊滅させる作戦を可能にするだけの情報を日米韓は持ち合わせていない。失敗すれば(日韓への)反撃は必至」(米専門家)。武力行使を現実的な選択肢と見る向きは少ない。

 ▽メッセージ

 手詰まり感が濃くなる中、北朝鮮に一定の核戦力保持を認めてでも、米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)完成を阻止すべきだとの主張も目立ち始めた。ニューヨーク大のアロン・ベンメイエ教授も「北朝鮮が核保有国だとの現実を受け入れるときだ」として米朝対話を提唱する。

 北朝鮮を核保有国として処遇しないとのトランプ政権の立場に表向き変化はない。ソーントン国務次官補代行は12日の下院外交委員会で「(核開発)計画を認めることもないし、核を保有していると考えることもない。非核化を追求している」と強調した。

 しかし、水面下では米朝が対話の糸口を探っている節もある。「既に手にしている能力は手放さない」。外交関係者によると、北朝鮮は米側にたびたびこう伝達している。ICBM完成を前提に、一層の核戦力増強に関しては交渉の余地があるというメッセージの可能性がある。トランプ政権は慎重に北朝鮮の真意を測っているようだ。

 ▽妥協けん制

 「北朝鮮に武力攻撃すれば大きな被害を受けるのは韓国、そして日本もそういう状況になる」(小野寺五典防衛相)。日本政府は米側との協議で軍事行動を巡り慎重な対応を求めてきた。

 政府高官は「米政府が日本への通知なしに動くことはない」と語るが、神経をとがらせているのは間違いない。

 一方で、核保有容認論も受け入れ難い。日本は既に北朝鮮ミサイルの射程に収まっているからだ。小野寺氏は10日のNHK番組で「日韓にとって核の脅威は現実だ。北朝鮮と妥協されてしまっては、すぐ近くに核がずっとあることになる。日米で足並みをそろえる必要がある」とくぎを刺した。(ワシントン共同=遠藤幹宜、武井徹)

(共同通信社)

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