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  • 2017年9月15日(金)

五輪2大会同時決定/巨額の財政負担、未解決/IOC内の危機感に温度差

 国際オリンピック委員会(IOC)は13日のリマ総会で、2024年五輪をパリ、28年大会はロサンゼルスで開催する異例の2大会同時決定を正式承認した。巨額の財政負担が招致都市の撤退を招いているピンチは当面しのいだが、大会の肥大化で開催都市が負担に苦しむ問題の根源は未解決のまま。IOC内でも危機感に温度差がみられる。

 ▽拍子抜け

 「世界のアスリートに11年先まで五輪の安定を保証できることは素晴らしい。歴史的な一日だ」。開催都市決定後の記者会見で、IOCのバッハ会長は喜びを隠さなかった。採決前の質疑応答でIOC委員からの質問は一つしか出ず、挙手による賛否確認で反対はゼロ。今後、28年五輪招致に興味を示す可能性のある都市を排除する重大な判断は、拍子抜けするほどの無風で了承された。

 5都市が立候補した今回の招致レースは3都市が撤退し、22年冬季五輪招致に続いて残ったのは2都市のみ。深刻な危機をひとまず回避したリーダーに安堵(あんど)の色がにじんだ。

 ▽矛盾

 IOCは14年に採択した中長期改革の指針「五輪アジェンダ2020」で、大都市以外でも五輪開催を可能にするため、他都市との分散開催や例外的に他国との共催を認めるなど開催都市の負担軽減を掲げた。20年東京五輪には招致段階の売りだった「コンパクトな計画」を崩す大幅な会場変更を認めて既存施設の活用を促したが、開催経費はなお1兆3850億円に上る。IOC関係者は指針の理念を礼賛するものの、目に見える変化は乏しい。

 矛盾もある。IOCは開催都市に提案権を認めた追加種目の選定に口を挟み、5競技18種目が加わった東京はさらなる負担に悩まされている。コスト削減を迫る一方で、ある日本の関係者は、IOCが委員の宿泊する都内のホテルのクローゼットの広さにまで注文を付けてきたと怒り「危機感のかけらもない。パリ、ロスが決まっても、息継ぎするだけで(今まで通り)のんびり過ごしていたら、次は窒息するだけだ」と切り捨てた。

 IOCは6人の委員が追放された02年ソルトレークシティー冬季五輪招致に絡む買収スキャンダル後、信頼回復に努めてきたが、最近もリオデジャネイロ五輪で組織委員会会長を務めたヌズマン元IOC委員に招致を巡る買収の疑いが浮上したばかり。「五輪とカネ」の問題が招致熱の冷え込みの一因となっているにもかかわらず「改革は進んでいる」と悠長に構える有力理事もいる。

 ▽本気度

 ロスが前回五輪を開催した1984年も、スポーツの祭典に暗雲が垂れこめていた中で迎えた。巨額の赤字を残した76年モントリオール五輪の影響もあり、招致では他に立候補した都市すらなかった。その中で商業主義路線を導入し、大会が現在の規模にまで発展するきっかけをつくった。

 ピンチでの2度目の登板に、ガーセッティ市長は24年大会をパリに譲り、11年後の開催を受け入れると表明した7月末、「ロスは再び局面を変えてみせる」と自信を示した。

 ユーリングスIOC委員(オランダ)は「今と同じ水準の五輪を求められたら、開催可能な都市は限られる。IOCは座席の少ない競技場も認められるのか。大都市や大国以外も招致できるよう、今こそ改革を進めなければいけない」と訴える。良識派の声はどこまで浸透するか。IOCの本気度が問われている。(リマ共同)

(共同通信社)

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