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  • 2016年4月19日(火)

災害にオスプレイ/「露骨すぎ」身内も批判/同盟PR、安全性宣伝か

 熊本県を中心に相次ぐ地震の支援活動に米軍の新型輸送機MV22オスプレイが初投入された。日本政府は投入の必要性を強調するが、日米同盟のアピールに加え、オスプレイの安全性に対する根強い懸念の払拭(ふっしょく)につなげたいとの思惑が透けて見える。政治的なパフォーマンスとも受け止められかねず、身内であるはずの防衛省幹部も「露骨すぎる」とあきれている。

 ▽必要性

 曇り空にごう音を響かせ、砂をはじき飛ばしながら、熊本県南阿蘇村のグラウンドにオスプレイ2機が着陸した。機体後部が開くと、米海兵隊員と陸上自衛隊員が連携し、救援物資が入った段ボール200箱以上を次々と降ろした。

 「不安の中で生活している方々に物資を届けないといけない。自衛隊のヘリコプターの能力だけでは十分ではない」。18日の参院決算委員会。中谷元・防衛相はオスプレイによる物資輸送の必要性を訴えた。

 だが、米軍の活動参加に対する政府内の認識が、当初から統一されていたとは言い難い。

 「申し出があるが、今直ちに支援が必要だという状況ではない」。安倍晋三首相は17日朝、官邸で記者団に米軍支援受け入れの可能性を聞かれるとこう強調した。変化が生じたのは、その直後だ。首相は官邸で中谷氏らから情勢報告を受けた。受け入れ指示は、この場で伝えた可能性がある。背景に米側から受け入れを日本側に強く求める申し入れがあったとの推測も出ている。

 その2時間半後の午前11時。首相は再び記者団の取材に応じ「米国から航空機による輸送支援が実施可能だとの連絡が入った。大変ありがたい申し出だ」と態度を一変させた。

 ▽露骨

 「日米同盟のアピールにちょうど良いと思ったのでないか」。そう話すのは防衛省幹部の一人。集団的自衛権行使を可能にし、日米同盟強化を目指した安全保障関連法は3月に施行されたが、国民の間で理解が進んでいるとは言えない状況だ。

 幹部は「東日本大震災の時のように自衛隊機が足りないという状況ではない」と指摘。「この状況で米軍を受け入れる必要はあるのか」と首をかしげた。

 別の幹部は、陸自が導入予定のオスプレイの配備先を巡る問題が影響しているとの見方を示す。政府は2014年7月、陸自に導入するオスプレイ17機を19年度から佐賀空港(佐賀市)に順次配備することを地元に打診したが、安全面や環境面への不安を理由に同意が得られていない。

 被災地支援でオスプレイを活用し、安全性や有用性を訴える-。幹部は「停滞する佐賀配備問題の解決に向け、弾みをつけたいのだろう」とみる。幹部は「だが…」と一拍置き、語気を強めた。

 「あまりにも露骨すぎる」

 ▽道具

 「まさに総力戦。昼夜を問わず、被災者のために働いている」。ある自衛隊員は胸を張る。だが、「オスプレイ使用が政治的パフォーマンスと捉えられ、『こんな時に防衛省・自衛隊は何を考えているのか』という批判につながらないだろうか」と率直な疑問を口にする。「災害を政治の道具にしてはいけない。一番大事なのは被災者の救助、支援なのだから」。隊員はそうつぶやいた。

(共同通信社)

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