| 2012年2月5日(日) |
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たいまつのように燃える体。自らに最大の苦痛を与えることで、政府に抗議の意志を示したのだ。戦争をやめろと。幼心にショックを受けたが、それ以上に驚いたのは時の権力者の無慈悲な一言だった。「お坊さんのバーベキューショーには手をたたきたくなる」。 焼身自殺を通して、民衆の苦しみをわがものとする反権力の精神。そんなドック師の後を追うように、同じ73歳で死の抗議行動を取った日本人がいることを比嘉(ひが)康文さんの「我が身は炎となりて」(新星出版)で知った。由比忠之進さんだ。 由比さんが首相官邸前で炎に身を投じたのは安保運動さなかの67年。沖縄返還やベトナム戦争をめぐって、対米追従に終始する佐藤栄作首相への激しい怒りがあった。普段は穏やかな老弁理士の身を挺(てい)した「ノー」に社会は衝撃を受けた。 あれから45年。「由比さんが告発した問題は今も連綿と続いている」と比嘉さんは訴える。それは米国が仕掛けたイラク戦争であり、アフガニスタン戦争であり、ビンラディン殺害であり、今や発火直前のイランである。そして、それを無条件で追認し続ける日本の姿だ。由比さんは遺書にこうつづった。「もはや我慢できなくなった」。同感である。 |