2009年3月20日(金) 東奥日報 天地人



 暑さも寒さも彼岸まで。きょうは春分、彼岸の中日だ。辛きこと多い近ごろの此岸(しがん)(現世)のさまゆえか、巡る季節の節目にどこかほっとする。早春とは思えぬ暖気が続いて少し戸惑ったが、三寒四温のうちに日脚も伸びていくころ。履き替えた靴の軽さが心地よい。

 春を感じる味といえば、あれこれとなろうが、草もちや桜もちもそうか。ヨモギの香りや色合いは懐かしい風景につながる。桜の葉のほのかな香りも捨て難い。生きている桜の葉はにおわないのに、なぜなのか。塩漬けにするとクマリンという物質ができて、それがにおうのだという。人が好む香りは、実は虫から身を守るためにあるのだそうだ(田中修「都会の花と木」)。

 その桜の気になる開花予想を、青森地方気象台が発表した。来月二十一日の八戸を皮切りに、翌日弘前、二十四日青森、深浦などと続く。西の方の記録的な早咲きとは違って、平年より二、三日早い並足での前線到達のようだ。このあんばいだと連休前半あたりが見ごろか。観光関連の人たちにとっては、まずは好日の便りと言えよう。

 桜の芽は冬の厳しい寒さを感じなければ、春の目覚めが悪いという。休眠打破と言われる現象だ。してみれば身にこたえる寒気が、あまり続かなかった今冬だ。急ぎの指令に慌てることなく、ほどほどのペースというところか。次の予報は二十五日という。

 「さくらより少し色濃し桜餅」(森澄雄)。和菓子の風味を先付にして、花の精たちの舞う宴を待とうか。


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