| 2008年6月10日(火) |
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亡くなった七人の方々も、けがをした人たちも、何が起きたのか分からぬ状況だったに違いない。時間も場所もたまたまにして巻き込まれた悲劇。その無念や恐怖に言葉もない。そして容疑者の男は「誰でもよかった」と。近ごろ事件の度に聞く言葉だ。一人一人の予備のない生の重みと、他者への視線を全く欠いたモノローグと。落差は一層露出してきたかのようだ。 二十五歳の容疑者は青森市出身だった。高校卒業まで市内で過ごしている。同級生や近所の人が語る横顔は、普通の子だったと。去年秋からは、静岡県の自動車工場で派遣社員として働いていた。「世の中が嫌になった」。犯行後の供述に至った背景に、どんな心の軌跡があったのか。 格差や貧困は現在の切実な課題になっている。とりわけ若い世代に重く内向していることか。レールにも乗れない不安定な仕事。ネットカフェを漂流する群像。あるいは自殺や自暴自棄の殺傷事件など。そんな風景が、今度の惨劇にもどこかでつながっていないか。 かつて総中流と言われた社会が陥没し、新たな地平がせり出している。けれど、この乱反射する難問に見合った処方せんは、いまだ手探りの域か。現代日本が根底で問われている宿題だろう。 |