2008年4月12日(土) 東奥日報 天地人



 舞台は仙台市。連続殺人事件をきっかけに市街地にはセキュリティー装置が設置され、人の動きや携帯電話の会話など、すべてが記録されている世の中。地元出身の首相がパレード中にラジコン爆弾によって暗殺される。容疑者とされたのは宅配便のドライバー。ぬれぎぬを着せられた男の逃避行が始まる。

 第五回本屋大賞に選ばれた伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」の粗筋を書けば、こんなふうだ。ちなみにタイトルは、マザー・グースの子守歌であり、ビートルズのレコードの中に入っている曲の名前でもある。

 本屋大賞は全国の書店員が自分たちで一番売りたい本を選ぼうと始めた、ユニークな手作りの賞。一次で三冊を選んで投票。上位十冊から二次投票を行うが、十冊すべて読んでいなければ投票できない仕組みだ。

 二〇〇四年から始まり、これまで大賞に選ばれたのは小川洋子「博士の愛した数式」、恩田陸「夜のピクニック」、リリー・フランキー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」、佐藤多佳子「一瞬の風になれ」。既存の文学賞が作家を審査員に文学性を問うているのに対して、本屋大賞は読んで面白い本が選ばれているような気がする。

 「ゴールデンスランバー」では監視社会の危うさ、作られた情報をうのみにする怖さが描かれ、絵空事とは思えない。防犯カメラなどの監視システムは犯罪の防止、犯人の検挙などに効果があるが、知らない間に監視されているのではないかという不気味さも伴う。悩ましい。


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