Web東奥・天地人20030723
  
2003年7月23日(水) 東奥日報 天地人



 北朝鮮は核開発問題をめぐる五カ国協議を受け入れる条件として、事前に米大統領らが「体制保証」の声明を出すよう求めている。北朝鮮は核カードを切って自ら危機をつくり出し、事態を有利に運ぼうとする瀬戸際戦術を展開してきた。その狙いが金正日体制の維持でしかないことが、これではっきりした。

 一九四五(昭和二十)年七月二十六日のポツダム宣言については先に触れた。降伏を突きつけられ、日本は迷走する。鈴木貫太郎首相は受諾する考えだったが、軍部の圧力に屈し「黙殺する」と三十日付の新聞に発表させた。これが原爆投下の引き金ともなった。

 八月九日午前の六巨頭会議で東郷茂徳外相は「もはやこの際は、絶対条件である国体護持のみを留保条件に受諾」を主張。本土決戦論者の阿南惟幾陸相らは、三条件を主張して対立。同日午後十一時五十分ごろから御前会議を開き、十日午前二時二十分、昭和天皇の裁決で、国体護持のみを条件に宣言の受諾を決めた。

 北朝鮮の「体制保証」要求に、日本の「国体護持」の条件を思い起こした。「体制保証」には人民への視点が抜け落ちている。人民より、自らの体制維持が大事−ということだろう。

 しかし、北朝鮮の崩壊は、韓国や中国だけでなく日本にも、深刻な混乱をもたらす。韓国は平和解決に向け、交渉姿勢を保ち続けている。わが国も五カ国協議の開催を強く迫ると同時に、北朝鮮の暴発を防ぎながら、粘り強い外交交渉を重ねていくべきだろう。


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