| 2002年6月14日(金) |
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「週刊朝日」の連載コラム「ナンシー関の小耳にはさもう」。六月二十一日号は、作家の辻仁成さんと女優の中山美穂さんの入籍の話だった。時々このコラムを読んで、思いがけない視角からの発言に「ウーン」と感じることがあっただけに、突然の訃報(ふほう)に驚いた。関さんは青森出身。まだ三十九歳の多彩な才能が惜しまれる。 ユニークな消しゴム版画や辛口のテレビ批評などで知られる。著書の「顔面手帖」(シンコー・ミュージック)に自画像がある。「カッターと生きる」とあり、消しゴム版画に関心を抱いたころのことも書いている。高校生の時に彫った喜びと、それをあちこちに押しまくる「ある種の征服感」と。 肩に力を入れずに、しかもハチの一刺しのような鋭さも。そんな文章を書く人だった。雑誌で連続対談をした民俗学者の大月隆寛さんは、その視線に触れて「ビシッと反応する感度と解像度」と。一九八○年代に仕事を始めた関さんらの、新しい感性を言ったのだと思う。 半面、こんな文章もある。「ちゃんとした生活、それはものを腐らせない暮らしだ」(「何の因果で」世界文化社)。青森から上京し、暑さでものがどんどん腐っていくことに驚く。で、生活をやりこなせていない自分を恥じ、古里の母の難なく暮らしを切り回している姿を思う。 こういうところが多分、関さんの素顔なのだろう。外への敏感なまなざしと、内に秘めたまっとうな生活感覚。そんな文章を、もっと読みたかった。 |