Web東奥・天地人20020314
  
2002年3月14日(木) 東奥日報 天地人



 雑誌「東北学5」(東北文化研究センター)をめくっていたら、「青潮文化」という言葉に出合った。黒潮から分かれ日本海に流れ込む対馬海流が形づくる文化。長野県立歴史館長の市川健夫さんらが提唱していて、同誌上で民俗学の赤坂憲雄さんと語っている。

 北上する日本海流が黒潮、南下する千島海流は親潮。で、「対馬海流にも何か適当な名前を」と市川さん。日本海のあの独特な色を思うと、ぴったりではないか。その青潮と、オホーツクから来るリマン海流が交わっているのが、日本海文化の特徴とも。

 例えばブナ林は「青潮がつくった」。大陸からの季節風が暖かい青潮の水分を吸収、日本海側に大量の雪を降らせる。これがブナ林をはぐくんだ、と。白神など確かにそう。カブやソバは北方系の作物だが、山形や福井のカブは南から伝わった焼き畑で作る。ソバは雪の降る気象条件ともかかわり、青潮文化域に広がる。

 サハリンに達する青潮は津軽海峡にも流れ込む。で、マグロやブリ、タイ、アジなどは本県沿岸でもなじみ深い。季節とともに北上するイカ漁もそう。一方でサケは山陰まで、タラも能登辺りまで下る。北と南が複合する日本海の恵み。わが祖先たちは縄文のころから、それらを生活の知恵としてきた。そして、この海道は大陸ともつながる。

 春は潮の動きが一年中で最も激しくなる。海の目覚めは魚たちばかりでなく、沿岸の人々や自然をも元気にさせる。悠々と流れる青潮を見たくなった。




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