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  • 2018年4月17日(火)

天地人

 写真や書き物には、記憶を呼び覚ます力がある。家族や友人、あるいは地域や職場の仲間で何年、何十年も前の写真を囲んで、会話が弾んだ経験が誰にもあるのではないか。

 「この写真を撮ったとき、こんなことがあった」「そこでは、確かこんな話をした」。写真という記録をもとに会話を交わしているうちに、おぼろげだった一人一人の記憶や当時の状況が確かなものになっていく。

 国政の焦点であるこの件については、事実関係をはっきりさせることができるのか。加計学園の獣医学部新設を巡り、2015年4月に愛媛県や今治市の職員が官邸で当時の首相秘書官に面会した際のやりとりを記録した文書が明るみに出た問題だ。

 文書には、当時の秘書官が「本件は、首相案件」と述べたとの記載があった。だが、本人は「自分の記憶の限りでは、県や市の方にお会いしたことはありません」とコメント。記録と記憶が一致しないのであれば、何があったのかを、公の場でしっかり精査するしかない。

 この件に関し「記憶より記録の方が正確」としたのは小泉純一郎元首相だ。安倍晋三首相が再選を目指す9月の自民党総裁選についても「3選は難しい。信頼がなくなってきている」と厳しく指摘。事実、世論調査での内閣支持率は37%まで下落した。「記憶の限りでは」といった説明では、信頼を回復できないであろう。

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