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  • 2018年3月9日(金)

天地人

 浮世絵師の葛飾北斎は引っ越し魔だったとされる。荒俣宏さん監修の「アラマタ人物伝」(講談社)によると、引っ越した回数は93回で、1日に3回のことも。部屋が汚れるたびに引っ越したらしい。若いときの作家、村上春樹さんも引っ越し魔だったようだ。住まいを移すのと芸術的創造力に関連があるのではと、思ってしまう。

 とはいえ引っ越しは良いことばかりでない。引っ越し貧乏というのもある。引っ越しを何度も繰り返し、その費用でお金がなくなってしまうことだ。

 引っ越し難民。最近、新聞やテレビで目にする言葉だ。希望する時期に引っ越しできない人を言う。原因はトラック運転手の人手不足。県内でもこれからピークを迎える引っ越しへの影響が心配だ。

 「◯◯難民」という言葉で、よく知られているのは買い物難民。近所に商店やスーパーがなくなって、日常の買い物に困る人たちのことだ。ガソリンスタンド難民、医療難民というのもある。

 「難民」を辞書で引くと「戦争・天災などのため困難に陥った人民。特に、戦禍、政治的混乱や迫害を避けて故国や居住地外に出た人」(広辞苑)。シリア難民やロヒンギャ難民らがそうであろう。それらの人たちの苦境を思うと、生活の不便を「◯◯難民」とするのは、少し大げさな表現と言えなくもない。ただ、引っ越しがままならないのは、大変な困りごとだ。

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