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  • 2017年11月11日(土)

天地人

 高校生のころ、買う本は主に文庫本。単行本は高くてなかなか手が出ない。文庫なら高校生でも買い求めやすい。小さくて軽いから、かばんに入れておいて時間があれば読むことができる。

 文庫に親しんできた人は多いだろう。「文庫本 雑学ノート」の著者の岡崎武志さんは、中学1年のころに初めて小遣いで文庫を買った。星新一さんの「ボッコちゃん」だった。それ以来、文庫に手を触れなかった日は一日もないという活字中毒ぶりだ。

 岡崎さんは同書のなかで丸谷才一さんのこんな分析を紹介している。<日本人は一体に小ぶりなものに目がない>。たとえば、盆栽や箱庭のように日本人は小さいもの好き。そんな傾向が、文庫という小型本が愛される背景にあるらしい。

 ただ、文庫の売り上げは年々減り続け、文庫市場も「小ぶり」になってきた。そんななか、文芸春秋の社長が先ごろ、「できれば図書館での文庫の貸し出しをやめていただきたい」と訴えて波紋を呼んだ。同社の収益の3割以上を文庫が占めるのだとか。

 だが売り上げ減と図書館の貸し出しを関係づけるデータはない。東奥日報社加盟の日本世論調査会の調査では、3人に1人が1カ月に読む本は0冊。スマホなどに費やす時間が増えたからだ。本離れは深刻だ。読書週間がおととい終わったばかりだが、文庫はもちろん本に親しむ機会を広げたい。

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