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  • 2017年6月20日(火)

天地人

 竹馬に乗って、走ったり跳ねたりする。それは速くて、近所の人を驚かせた。大きな友だちにまじって鬼ごっこをしても、めったにつかまることはなかった。小川未明の童話『竹馬の太郎』である。6歳の太郎は竹馬が大好きだった。

 80歳の飯塚進さん=千葉=も、竹馬に魅せられたくちなのだろう。昨年9月、竹馬に乗って福島を出発したと聞く。太郎のように走ることはない。ゆっくり、着実に、北上した。そして9カ月、ついに目指した青森市役所にきのう到着した。

 中学校校長を定年退職後、竹馬の魅力を伝えるため、体力づくりをかねて70歳から旅を続けてきたという。房総半島一周、京都から日本橋までの東海道、東京から大垣までの奥の細道、そして四国八十八箇所(しこくはちじゅうはっかしょ)の霊場めぐりを、竹馬で踏破してきた。今回が人生最後の「竹馬行脚」と決めてきた。

 竹馬は、さまざまな形のものが世界各地にある。日本の起源を百科事典で調べると、<不明である>とそっけない。ヨーロッパでは棒を両脇にはさむ。腕をさげて棒を握り、体側あるいは後方で保持するらしい。『遊びの歴史民族学』(寒川(そうがわ)恒夫著、明和出版)に教わった。

 日本では当然のように、胸の前で棒を持つ。同じように操る<アジア・オセアニアの竹馬分布圏につながる>と寒川さんは考察する。子どもの遊び道具のように見えながら、竹馬も奥が深い。

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