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  • 2017年5月20日(土)

天地人

 度々利用する大手通販サイトから「おすすめ商品」を知らせるメールが届く。探していた本などをタイミングよく薦めてくることもある。「おすすめ商品はお客様がこれまで購入された商品に基づいて紹介させていただいています」。こうしたサービスは便利だが、個人の趣味、好み、知りたいことの傾向など、ネット上ではほぼ野ざらし状態になることの、その先を想像したい。

 2013年、米政府が、米国民のネットの検索履歴を含めた膨大な通信データを違法に収集し、市民監視を行っていた実態が、CIAの元職員により暴露された。

 元職員からもたらされた機密文書を前に、ジャーナリストが言う。「これはすべて発表しよう。国家の監視能力をみんなが理解するためだ」「政府に監視されたいか、国民が議論すべきだ」(ドキュメンタリー映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」)。

 多くの懸念が解消されないまま、日本では、テロなどの犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が、衆院法務委員会で強行可決された。

 テロ対策は重要だろう。だが成立すれば、犯罪の準備を取り締まるために、市民生活を広く監視し、心のうちにも立ち入るような捜査が横行するのではないか。「安心」と引き換えに、私たちは「政府に監視されたい」のか。議論が深まったとはいえない。

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