2012年10月4日(木) 東奥日報 社説



■ 函館の反発にどう対応/大間原発工事再開

 電源開発(Jパワー)は、東日本大震災後に1年半余り中断していた大間原発(大間町)の建設工事を再開した。

 国内の原発工事再開は大震災後初めて。Jパワーは当初、国のエネルギー基本計画閣議決定を待ち、建設再開を判断する、と説明してきた。

 政府は、新エネルギー・環境戦略で「2030年代の原発稼働ゼロ」を目標とし、原発の新増設を認めない方針を示しているが、枝野幸男経済産業相が着工済み原発の建設継続を容認する考えを示したことが再開を後押しした。

 再開理由として、Jパワーの北村雅良社長は「経済・雇用効果が滞り困難に直面している」などと、立地地域への影響に言及した。地域活性化を願い、共存共栄を掲げる地元自治体への配慮は理解できる。

 だが運転開始までにさまざまな課題が横たわる。

 稼働には、原子力規制委員会が策定する新たな安全基準を満たさなければならない。安全基準の骨格がまとまるのは年度末になる見込みだ。新たな基準では、追加の安全強化対策などが求められよう。活断層の有無も明確にすべきだ。何よりも高い安全性を望む。

 周辺地域への対応は大きなハードルだ。規制委は、原子力事故の防災重点地域を「原発から半径30キロ」に拡大する指針案を示した。

 圏内に入る対岸の北海道函館市や同市議会などは反発を強めている。市民団体が建設差し止めを訴え係争中なのに加え、工事が本格化する時期に、工藤寿樹函館市長が建設工事の差し止めを求め提訴する考えだ。

 Jパワーは随時、道側にも安全強化対策などを説明する必要があるが、理解を得るのは容易ではない。

 函館側の反発にどう対応するのか。規制委は、稼働の是非や地元理解を得る活動は経産省や事業者が担当するべきだとの見解を出した。見解通り、今後は国の関与も必要となろう。

 地域の防災対策も欠かせない。大間町に隣接する風間浦村が主張する避難道建設への道筋をどのようにつけるのか。住民の安全に関する問題だ。県は対応を急ぐべきではないか。

 大間原発は、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムにウランを混ぜたMOX燃料を全炉心で使う世界初の商用炉だ。より多くのプルトニウムを燃やすことが可能で、核燃サイクル政策の柱となる。

 政府は、30年代の原発ゼロを打ち出す一方、核燃サイクル政策を堅持するという「矛盾」を抱える。

 大間原発が計画した14年11月の運転開始は、工事中断でずれ込む見通しだ。稼働が認められた場合、政府の原則「運転期間40年」を当てはめると50年代まで運転が可能だ。30年代の原発稼働ゼロとは両立しない。

 枝野経産相は30年代ゼロを「あくまで目標」とも述べた。原発の代わりと想定する再生可能エネルギーはまだ不安定だ。そもそも30年代という年代設定はあいまいである。政府は目標の矛盾を解消すべきだ。




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