| 2012年5月9日(水) |
今秋、予防接種法に基づくポリオ予防の定期接種が、生ワクチンから不活化(ふかつか)ワクチンへと全面的に切り替わる。厚生労働省が方針を示した。 まず、9月からポリオ単独の不活化ワクチンが使われる。11月からはポリオ不活化と3種混合(ジフテリア・百日ぜき・破傷風)を合わせた4種混合も導入される見通しだ。 生ワクチンには極めてまれにだが、接種によるまひが起きる可能性があり、不安を抱く保護者が少なくなかった。不活化ワクチン導入は、この不安を解消するものだ。市町村は、接種開始に向けて着実に体制整備をしなくてはいけない。 不活化の定期接種導入に至る一連の経緯であらためて分かったのは、日本が「ワクチン後進国」という事実だ。 ポリオは急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)とも呼ばれ、脊髄神経がウイルスに侵され、足や腕にまひが生じる病気だ。日本では1960年代に患者が5千人を超える大流行があったが、生ワクチンを使った定期接種導入以降、激減した歴史がある。以来、日本では生ワクチンが使われてきた。 だが、生ワクチンは病原性が低いとはいえ、生きたウイルスを原料にしており、数百万人に1人の割合でまひが起きる可能性がある。これに対し、ウイルスを化学処理しているため、まひ発症の心配がないというのが不活化ワクチンだ。 日本以外の先進国は、不活化ワクチンを使っている。厚労省の検討会は2003年に不活化導入を提言していた。検討会での提言以来、約10年というのは、対応としてあまりに時間を要しすぎた。 対応の遅れは、接種の混在を生んだ。「生ワクチンを使った、市町村が経費を負担する定期接種」が行われる一方で、より高い安全性を求めて「海外から輸入した不活化ワクチンを接種してくれる医療機関に足を運び、自己負担で任意接種」が増えた。定期接種の接種率は低下。今秋の定期接種への不活化ワクチン導入を待って、今はどちらも接種しない「接種控え」も問題になっている。 予防接種は、子育て家庭が経済的負担に悩むことなく、安心して、確実に受けられるものでなければならない。これらを保障することが「ワクチン後進国」から脱することであり、ポリオ定期接種においても、そのための体制を整える必要が不可欠だ。 定期接種に不活化ワクチンが導入される9月まで、残り4カ月を切っている。厚労省は十分な供給量を確保しなければならない。準備を進める自治体に対しては、迅速で的確に情報提供をする必要もある。 接種パターンも、今秋の導入以前の子どもの接種歴によって違うため、戸惑う保護者も多いのではないだろうか。接種体制の整備はもちろんのこと、保護者に対するきめ細かな対応、広報が要る。国と自治体はしっかりと対応し、責任を果たすべきだ。 |