2012年2月10日(金) 東奥日報 社説



■ しっかりと原因究明を/再処理工場の不具合

 日本原燃は、六ケ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場で高レベル放射性廃液のガラス固化体を製造する試験運転の再開を予定より1カ月遅らせ3月以降に延期した。

 ガラスを溶かして廃液と混ぜる溶融炉の動作確認で、ガラスがうまく流下しないトラブルが続き、その不具合を解消するためだ。

 東京電力福島第1原発事故を踏まえ同工場を含む県内原子力施設で講じた緊急安全対策を三村申吾知事が昨年末に了承したことを受けて、再開へ向けた準備が進む中でのトラブルだ。

 原燃によると炉内下部に異物があるとみられる。異物は(1)レンガの破片(2)周辺装置の金属が酸化してできた膜(3)結晶化したガラス−のいずれかと想定する。

 流下の不調は以前にもあり、原燃はマニュアル通りに異物除去作業を進める一方、異物の成分を調べ、原因を特定し対策をとる方針という。

 再開はもともと昨年4月を予定したが原発事故で見合わせていた経緯がある。早くても3月再開では今年10月を見込む完工は極めて難しくなったといえよう。

 原燃としては、早期に完工し商業レベルでの再処理技術確立にこぎ着けたいところだろうが、ここはしっかりと原因を究明する必要がある。原因次第ではあるが対症療法的な対策で済むのか。技術的な問題はないのかどうかもあらためて検証するべきだろう。

 試験運転が再開されれば、実物の廃液を使った本格的なガラス固化試験もある。廃液にはさまざまな金属が含まれており、ガラス溶液が流れにくくなるなど、これまでの固化試験が難航した要因とされる。

 急いで試験運転を再開し同じようなトラブルを繰り返せば再処理技術や施設に対する信頼が損なわれよう。風当たりが強まるのは確実で、再処理技術確立を前提とする核燃料サイクルの存廃論議にも影響する可能性がある。

 廃止論の理由の一つに、再処理工場が巨費を投じながらトラブル続きで建設が大幅に遅れ、技術確立に至っていないことが挙げられており、試験運転後につまずけば廃止論の補強につながる可能性があるからだ。

 原子力政策大綱見直しを進める原子力委員会が7日に開いた会議で、試験運転再開延期が話題に上った。再処理の必要性を訴える声があった一方で、再処理に批判的な識者委員は「事業の持続可能性はあるのか」と指摘した。廃止論が勢いづきそうな気配もある。

 原子力委員会の議論では、使用済み核燃料を再利用する現行通りの再処理推進から、再処理せず地下に埋設する直接処分も選択肢に含まれている。

 政府は脱原発依存の方向で原子力政策見直し議論を進めており、夏ごろにも結論を出す。サイクル路線が廃止されれば再処理は不要となり、継続しても原発が減れば必要性は低下する。

 廃止論に抗するため再処理技術確立を急いでも、試験運転でつまずけば逆効果になりかねない。


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