| 2012年1月19日(木) |
東京電力福島第1原発事故を受けて政府は原発の運転期間を原則40年に制限することなどを柱に原子力安全規制を強化する。関連法の改正案を24日から始まる通常国会中に提案する。 ただし「原則40年」には最長20年の延長を認める例外を設け、最長60年の運転が可能になる。例外が相次ぎ“抜け道”にならないか。老朽化による事故のリスクを減らすためには、原則を骨抜きにしてはならない。 原発の“寿命”はこれまで明確な規定がなく、運転開始後30年を迎えれば10年ごとに健全性などを国が評価し、延長を認めてきた。 国内の原発54基のうち運転30年以上は19基、そのうち廃炉となる福島第1原発1号機を含め3基が40年超、1基が夏に40年となる。 原子炉等規制法見直し方針の例外規定は、事業者から申請を受けて国が審査、原子炉に劣化が生じても安全性が確保されていることを条件に20年を超えない期間で1回限り延長を認める内容だ。 「原則40年、延長20年」は、米国などの例を参考にしたという。最長60年の運転は、「十分な管理をすれば60年間の運転は可能」としてきた電力会社の主張に沿った形ではないか。 延長を認める具体的判断基準は未定で、原子力安全庁準備室は「厳しい基準を設ける」とし例外を増やさない姿勢を強調。細野豪志原発相も6日に「認められるのは極めて例外的なケース」との見解を示していた。原則の徹底を求めたい。 延長に対しては「設計する側は(30〜40年という)耐用年数を決めて設計しこの約束事を延ばすことは想定していない」と危険性を指摘する専門家もいる。 老朽化も個々の原発によって異なり、36年経過の九州電力玄海原発1号機は原子炉の鋼材が想定以上にもろくなっている可能性が指摘されている。原則の40年にさえこだわらず事故のリスクは極力排除すべきだ。 原発の運転長期化は事業者にとって経済効果が大きい。だが福島事故を経た今、安全性により重きを置いて判断するのは当然だ。原子力基本法改正案で基本理念に「放射線による有害な影響から人と環境を守る」と明記する趣旨はそういうことだろう。 規制強化としてほかに、地震・津波などに関する最新の知見を基準に取り入れ既存原発に適合を義務づける制度も導入、不適合なら運転を認めないという。また過酷事故の対策を法令の規制対象とする。 原発の寿命をはじめ安全規制の実効性をどう確保するか。規制行政は4月に発足する原子力安全庁(仮称)が担うが、十分機能しなかった過去の反省に立ち、独立性や、勧告、調査など権限を強化し、厳格な態勢を築く必要がある。 政府は原発依存度を段階的に引き下げる方針で、今年の夏ごろをめどにエネルギー・原子力政策の見直しを進めている。原発の寿命明確化により道筋が少し見えてくる。原則40年を後退させることなく脱原発依存への一歩とするべきだ。 |