| 2010年3月10日(水) |
収入などが増えたら、生活保護を受けている人は受け取った保護費を自治体に返すように。生活保護法はそう定めている。保護費が返される場合、自治体は返還額がいくらかを確定させた上で、受給者に納入通知書を渡し、金融機関に振り込むなどしてもらう。 自治体が返還金を預かって保管するのは、地方自治法の規定に違反する。県内の自治体は預かり金を受け付けていない。そうするよう県も指導している。 ところが、弘前市生活福祉課は違った。返還金の一部を現金で預かり、課内の金庫に保管してきた。こうした事務処理の中で2008年10月、預かり金約58万円の紛失が分かった。 今回は、金庫の鍵を保管する立場にある同課の男性職員が、預かり金のうち約415万円を自宅に持ち帰っていたなどが判明した。 市は、不適切な預かり金制度を持つというボタンの掛け違いをしたけれど、ボタンを掛け直す機会はあった。3年前、青森市は、収納課の市税不明金が発覚して問題になったのを受け、預かり金をやめている。1年半前は弘前市自身、預かり金紛失問題を起こすという苦い経験をした。 なのに、問題が大きくなって表面化した今回、ようやく違法と気づいて制度を廃止した。それまでは、預かり金の扱いについて地方自治法を調べていなかったという。法令に基づく公務を担う行政としてあまりにもお粗末、ずさんではないか。市は猛省すべきだ。 1年半前の紛失の際、市は制度自体にはメスを入れなかったが、預かり金の管理規定をつくった。規定通り運用していれば、預かり金が金庫になく、処理が数カ月間遅れているのを見つけられたのではないか。 だが、預かり金の台帳や入金伝票と金庫にある現金の額の照合などがきちんと行われておらず、預かり金全体の件数、金額がどれだけあるかも把握し切れていない実態が今回浮かんだ。 また、1年半前は、預かり金は市の歳入に繰り入れられていないから公金ではないという理由から、紛失分は課内の関係者が穴埋めし、その関係者を口頭での厳重注意にとどめた。正式な処分は行わず、公表もしなかった。 あいまいと映るこんな姿勢は、預かり金を持ち帰った男性職員に対する市の今回の対応にもうかがえる。 預かり金は自分の口座に入れた。自宅で保管しており、自分が使う意思はなかった…。市への答えをそう変えた男性職員が、約9万円を着服した疑いが出てきた。だが、市は厳しく追及しているようにみえない。 市に返還された生活保護費は、08年度は約4300万円あった。預かり金はその4割に達するという。大きな額だ。しかも、新たに7万円の預かり金紛失も分かってきた。 相馬〓一(しょういち)市長は、市議会で「市民の信頼を損ない、おわびする」と述べ、再発防止に努めると強調した。※相馬〓一市長の「〓」は「金」へんに「昌」 だが、今回の問題を機に市の業務に向けられている疑問に答え、不信を取り除くため、不適切な預かり金処理がほかになかったか丹念に洗い直すとともに、ほかの部署でも不適切な金銭処理が行われていないかを点検すべきでないか。 |