2010年3月8日(月) 東奥日報 社説



■ 分からないことが多い/「低レベル」県が検討

 わが国の原子力発電所で発生した使用済み核燃料は英国、フランスに再処理を委託している。

 このうちフランスの再処理で出た低レベル放射性廃棄物は、2013年から日本に返還される予定になっているが、受け入れ先は決まっていない。

 受け入れ先選定や地元の理解、国への許認可申請など手続きを考えると、残された時間は少ない。約束の時期が遅れると、わが国の国際的な信用が失墜する。国や電力事業者たちは、そう考えたのだろう。

 今月初め資源エネルギー庁長官、電気事業連合会や日本原燃の幹部が相次いで三村申吾知事を訪ね、海外での再処理で出た低レベル廃棄物を六ケ所六ヶ所村で受け入れるように要請した。

 回答を保留していた三村知事は6日、古川健治村長とともに直嶋正行経済産業相と会談した。

 知事は、この問題では政府が前面に立つこと、核燃料サイクル政策を確固として推進すること、本県を最終処分地にしないことなどの確認を求めた。

 直嶋経産相は、高レベル廃棄物と同様に「青森県を最終処分地にしない」と約束。最終処分地の選定については国が責任を持って行う、と答えた。

 会談の結果を踏まえて県は専門家による検討会をつくる。返還廃棄物の安全性などを審議し、六ケ所村などの意見を聞いた上で受け入れの是非を検討、決断することになる。

 国や業界の要請は急なことでもある。検討には、時間が必要だろう。

 返還低レベル廃棄物をめぐっては、06年に電事連が日本原燃の新設施設で貯蔵する計画を説明した際、知事は再処理工場の試運転状況を見極めて対処するとして、検討を拒否したいきさつがある。

 当時と現在の状況や環境に、よい変化が起きているとは到底思えない。また、返還される低レベル廃棄物とは一体どんな物質で、いつまで本県に置くのか。分からないことが多い。県民は、それらを知りたいはずだ。知事は丁寧に説明する必要がある。

 直嶋経産相は「海外から返還される放射性廃棄物の受け入れ・貯蔵は、核燃料サイクルの確立のために欠くことができない」と強調して、本県を訪れた。

 一方、核燃料サイクル事業に協力してきた県は、受け入れた返還廃棄物が確実に県外の最終処分地に運び出されることを明確にしておきたいところだ。

 最終処分地の候補地選定は難航している。県民の間には、候補地が決まらないままに、なし崩し的に本県が最終処分地になるのではとの強い疑念が、依然として残っている。

 フランスから返される低レベル廃棄物は、高レベル廃棄物同様に地中深くに埋める「地層処分」が必要なものとされる。

 廃棄物そのものの安全性のほかに、本県での貯蔵期間が未定だったり確定しないのでは、県民の不安を取り除くことは不可能といってよい。

 最終処分地を決められずに政府は「一時的」貯蔵を本県に求めてくる。それでは、国の根幹政策に対する責任を政府自身が果たしているとは言い難い。


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