2010年3月7日(日) 東奥日報 社説



■ 地域主権改革の試金石だ/国と地方の協議の場

 掛け声倒れであっては困る。国の姿を大きく変える地域主権改革の実質が問われる場面である。

 政府が地方自治に関する政策を企画立案段階から地方の代表らと話し合う「国と地方の協議の場」が実現に向かう見通しとなった。

 政府がその設置法案や、法令で自治体の仕事を縛る「義務付け」を見直す地域主権推進一括法案を閣議決定した。今国会での成立を目指すことになった。

 自治体の財源と権限を大幅に拡充する改革の実現、地域主権の確立は鳩山政権の選挙公約の柱である。

 「国と地方の協議の場」は地域主権改革をけん引する中核組織にしようとするものだ。法的裏付けをもたせるもので、法制化は地方側の長年の念願だった。地方が加わった政策づくりは実現すれば意義は大きく、地域主権改革としては政権最初の成果となろう。

 しかし、問題は中身だ。

 国と地方の関係が主従から「対等・協力」になり、協議の場が、地方が描くように議論が政策に反映されるかどうかだ。イメージのみが先行する懸念もある。

 その意味で国と地方の協議の場という新装置は地域主権改革への試金石であり、同時に入り口である。

 霞が関の官僚には分権への抵抗が根強いとされる。補助金行政により細部まで国に枠をはめられてきた本県など地方自治体を今度こそ改革に導けるかどうかだ。

 「義務付け」の見直しは必要性が指摘されながら進まなかった。子ども手当は一部財源が地方自治体に相談や協議もなく地方負担分が確定し、定額給付金など、自治体が実務を担う制度設計ですら同様に決まった。そんな姿を変えたい。

 協議の場のメンバーは国側は官房長官ら閣僚、地方側は全国知事会など地方6団体代表で構成する。

 国と地方の役割分担や地方行財政、社会保障、教育に関するものを協議対象とし、双方に「会議結果には尊重義務」が付けられた。

 協議では分科会が重要な役割を担う方向のようだが、協議の場が単に国が進めようとする政策を示す場や、地方に認めさせるガス抜きの場になることのないよう、きっちりした組織にしなければ意味がない。

 鳩山政権には地域主権に実質を与える意思と計画性が試される。理念や理屈だけであってはならない。国会審議では超党派で問題点を徹底的に洗い出し、論議を尽くすことが重要だ。

 地方は政策実現へことあるたびに国に陳情を重ねてきた。陳情政治を廃したい。地方を知るのは地方であり、地方が政策にかかわるのは自然なことである。

 協議の場では自治体同士の調整や妥協が必要にもなろう。「尊重義務」からも協議結果には自治体も責めを負うだけに強い自覚が求められる。加えて、政策理解へ力不足を問われぬよう、準備する必要もある。

 政府は夏前にも国の出先機関改革や地方への権限移譲、「ひも付き補助金」に代わる一括交付金の考え方を盛り込んだ「地域主権戦略大綱」(仮称)をまとめる方向という。

 国と地方は変革期を迎えている。だが、改革へ真に踏み出せるかは今後だ。国には期待を失望に変えることのないよう求めたい。


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