2010年3月6日(土) 東奥日報 社説



■ 将来見据え活発な論戦を/近づく弘前市長選

 弘前市の相馬〓一(しょういち)市長の任期満了に伴う市長選挙は4月4日の告示まで1カ月を切った。投開票は同11日に行われる。

 名乗りを上げているのは再選を目指す相馬氏と、相馬氏を補佐する副市長だった葛西憲之氏の2人。現段階では、この2人による一騎打ちとなりそうだ。

 弘前市は2006年2月に岩木町、相馬村との市町村合併により人口18万人余りの都市となった。相馬氏は合併で誕生した新弘前市の初代市長となり4年が経過した。

 市長選では、相馬市政の継続か刷新かが問われることになるが、立候補する2人には活発な政策論争を期待する。弘前市をどういう方向にどう導くのか。将来を見据え、有権者に判断材料を示してもらいたい。

 論争すべきテーマは多い。経済活性化や雇用、農業振興、福祉、教育、医療など市民の暮らしをどう守るのかは他の市町村と同じく基本的な課題だ。

 12月の東北新幹線全線開業をとらえた観光振興をどう図るか。津軽の中心として弘前市の役割は大きい。

 また、弘前城をはじめ歴史的な遺産の多い弘前市は、その魅力アップも課題だ。2月には歴史まちづくり法に基づく計画が認定され、歴史的建造物の保存・修理をはじめ、地域に息づく伝統を守り伝える環境整備へ取り組みが本格化する。

 中心街に目を転じれば、第三セクター・弘前再開発ビルの破産手続きに伴い昨年10月に閉鎖された複合商業施設「ジョッパル」跡をどうするのか。街づくりの問題でもある。

 相馬氏は公約として「築こう!!健康で活力ある街を」をスローガンに掲げる。政策では「健幸(健康で幸福な)都市宣言と事業の展開」など新しいものもあるが、現職だけに自身がまとめた市総合計画に並ぶ政策の列挙が目立つ。いまのところ説明はなく、具体的な中身はみえない。

 葛西氏は「ひろさき一新〜対話と創造」を掲げる。政策では「ジョッパル」再生、相馬氏が進める全天候型スポーツレクリエーション施設建設の見直しなど現職との姿勢の違いを強調する。だが、「ジョッパル」は競売が決定しており、市としての対応は難しい面もある。実効策はどうか。

 19日には弘前青年会議所が主催し両者の考えを聞く公開討論会を開く。告示の前に両氏の政策を比較できる良い機会だ。じっくり耳を傾けたい。

 選挙戦は現段階で、一時期ともに市政運営にあたったトップと女房役が戦う異例の構図となる。

 葛西氏の陣営には市内経済界の主立った顔ぶれがそろう。4年前の選挙で相馬氏に敗れた当時の現職を経済界が支持していた経緯があり、経済界が折り合いの悪い市長と対決するという様相も見せる。

 両氏とも無所属で、政党の推薦を受けずに選挙に臨む。政党が前面に出ないこともあってか、表面的に市内は静かで、いまのところ市民の関心もあまり高くないようだ。

 本格的な論戦は告示を待たなければならないが、有権者を引き付けるような論戦を望む。有権者はしっかりとそれを見極め、権利を行使してもらいたい。

※相馬〓一市長の「〓」は「金」へんに「昌」


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