2010年3月4日(木) 東奥日報 社説



■ 選挙手法厳しく問われる/北教組幹部ら逮捕

 民主党支持の労組団体に捜査のメスが入った。それも教職員組合にである。

 昨年8月の衆院選をめぐり、北海道教職員組合(北教組)の実質トップである委員長代理ら幹部4人が民主の小林千代美衆院議員(北海道5区)の陣営に1600万円の選挙資金を違法献金したとして、札幌地検に政治資金規正法違反の疑いで逮捕された。

 鳩山由紀夫首相の偽装献金事件、小沢一郎幹事長の資金管理団体の収支報告書虚偽記入事件に続く「政治とカネ」の問題だ。有権者の不信は増大している。

 政治資金規正法は企業・団体献金を政治資金団体や政党支部にしか認めておらず、政治家や後援会への献金は禁止している。

 小林陣営(選対)の経理担当者(逮捕)は「通常使わない口座で資金を管理した」とし公選法が義務付ける収支報告書に記載せず「表に出して使ってはいけないカネ」として扱っていたという。労組の献金は根の深い問題との見方が強い。

 本紙によれば、献金の原資には北教組が保管している教員らの主任手当など数十億円のプール金が入っている可能性があるという。資金の実態や1600万円が、一体どういうカネなのかは大きな焦点だ。

 北教組を構成するのは、生徒を教え導く公立校の教員だ。民主の有力支持団体である日本教職員組合(日教組)の傘下にあり、組合員数は2万人近い。いじめ問題への取り組みなど、多岐にわたる活動を積極的に展開している組織である。

 だが、「教育公務員特例法」は選挙運動などにかかわることは禁止している。懲戒処分はあっても罰則規定はないものの、事件は教員にとっても重大だ。

 過去にも山梨県教組の幹部が規正法違反事件を起こしている。現在、全国で労組の支援を受ける民主だが、教組による事件は北海道だけの問題なのだろうか。民主の体質とともに、選挙手法の在り方が厳しく問われている。

 小林氏は選挙は陣営に任せきりだったとされる。捜査側に経理担当者は「北教組には『事務費の維持費が底をついた。党からもカネをもらえないか』頼んだ」旨を説明している。当時、衆院選が先延ばしされる状況の中で資金繰りに苦しんだ末の違法献金ではあろう。が、労組による支出実態や原資次第では、さらに悪質性を問われよう。

 小林氏の選挙は組織力のある「北教組丸抱え」に近いものだったといわれる。そうした対応は行き過ぎだろう。労組は単に集票組織であってはならない。

 「政治とカネ」の問題をめぐっては、世論調査などで多くの国民が鳩山首相、小沢幹事長とも説明を尽くしていないとみている。

 今回の問題では、選良である小林氏や後援会に重い説明責任がある。と同時に北教組自身、資金とともに活動内容を公にし、事実関係を明らかにすべきだ。

 事件は3日に参院入りした予算委員会でも論議された。鳩山首相は参選院までに罰則規定などを検討したとする考えを述べた。罰則に言及することで国会を乗り切ろうとするわけでもないだろうが、政治倫理に照らし、まず、政治家自身が姿勢を正さねばならない。


HOME