| 2010年3月3日(水) |
23万人以上の犠牲者が出ている中米ハイチの大地震に続き、南米チリでも大地震が起きた。犠牲者が723人に達している。 気象庁は、チリ大地震によって本県、岩手県、宮城県の太平洋側に最大3メートルの津波が押し寄せる可能性があるとして大津波警報を、ほかの沿岸部にも津波警報や注意報を出した。大津波警報の発令は、1993年の北海道南西沖地震以来17年ぶりになる。 来襲した津波は、気象庁の観測で最大1.2メートル。本県では八戸市への0.9メートルが最大だった。予測より小さかったため、日本では人的被害が出ていない。警報などはすべて解除された。 ただ、三陸ではカキなどの養殖いかだが流出・破損する被害が出た。本県のおいらせ町長選は、投開票当日に大津波警報が出たため一部投票所が閉鎖された。閉鎖投票所での再投票、全体の開票延期という異例の対応を強いられている。 別の問題も浮かんだ。気象庁の警報を受けた各地の自治体が、避難するよう促したが、結果的に従わなかった人が全国的に多かったことだ。なぜ避難率が低かったのか。政府や自治体は深刻な事態と受け止め、分析・検証をすべきだ。 県内の11市町村が指定場所への避難指示・勧告をした対象は計6万6424人だが、避難したのは3014人、4.5%しかいなかった。最も高かったのが風間浦村の24.6%、最低は三沢市の1.7%。自治体で大きな差もみられた。 高台や親類宅など指定場所以外に移動した人は避難率に含まれない。実際の避難率はもう少し高くなりそうだが、得られたこのデータを大切にしたい。予測通りの大津波が来ていたら…と考え、対策を立てる“たたき台”としてである。 八戸市などの太平洋沿岸は、1960年のチリ地震津波で被害を受けた。本県は、83年の日本海中部地震でも津波の怖さを知った。 今回は、その記憶・経験を思い出して避難した高齢者もいた。だが、避難率は低かった。被害の教訓が広く共有・継承されていない現状を映していないか。 むつ市は、大津波警報の対象だった二つの地域の住民1313人に避難指示を出すのを忘れていた。人命にかかわりかねない大きなミスをしていた。 避難指示・勧告に強制力がない“弱点”もあるが、警戒・広報態勢を十分に整えられたか、津波が迫っていることを住民にきちんと伝える広報ができたかを自治体は問い直してほしい。 今回は、50年前のチリ地震津波の時と違い、気象庁が津波の到達時刻、大きさを数時間前に予測し、メディアは警戒するよう呼びかけ続けた。住民が津波にどう対応したらいいかを考える時間も情報もあった。だが、実際の避難にはあまり結びつかなかった。 第1波が小さかったから大丈夫と避難所から自宅に戻ったり、避難する必要はないと自分で判断するといった住民の危機意識の薄さや、津波への認識の甘さも浮かんできている。 三村知事も指摘するように、県を含む行政の対応、住民の意識・行動のあり方をよく調べ、次の津波に備える必要があることを、低い避難率は教えている。 |