| 2010年3月1日(月) |
厚生労働省は、不特定多数の人が訪れる公共の場を原則「全面禁煙」とするよう、都道府県など自治体に対し通知した。 「たばこの害」を認識してもらい、喫煙に対する国民の意識変化を促す狙いがある。 対象となるのは、飲食店や宿泊施設のほか、健康増進法で定められた官公庁、駅、病院、百貨店、美術館、娯楽施設などの屋内空間だ。屋外でも、子どもたちが利用する公園などでは受動喫煙防止対策に配慮が必要−とした。 公衆衛生の上で必要な措置であり、喫煙者も協力してほしい。 「たばこ規制枠組み条約」の発効から5年。世界が「脱たばこ社会」へと進む中、日本の対策は立ち遅れている。 2008年の世界保健機関(WHO)の受動喫煙対策調査で、英国やカナダなどが5段階評価で最高の「5」だったが、日本は「2」にとどまった。 条約のガイドラインは、日本などの締約国に対し、発効5年以内の今年2月末までに公共の場や屋内の職場などを全面禁煙にする法的措置を求めた。 厚労省の通知は、このガイドラインを踏まえてのことだ。だが、罰則や強制力はなく、実効性には疑問が残る。 そもそも健康増進法では経営に影響する施設側への配慮などから、受動喫煙防止は努力義務にとどめられた。これが対策の遅れにつながったとみられる。 今回の通知だけでは不十分だ。国が主導すべき問題なのに自治体にげたを預けた感が否めない。国には法整備など、さらに踏み込んだ対策を強く求めたい。 県内の公共施設の対策は芳しくない。県保健衛生課の05年度の調べでは、「禁煙」や「効果の高い分煙」対策を講じているのは教育・保育施設91%、医療施設71%、県庁舎53%、体育施設36%など。 市町村庁舎や文化施設、事業所はいずれも20%台で遅れが目立つ。 県内の自治体は速やかに対策を進めてほしい。 たばこの煙に含まれる有毒物質による健康障害が原因で、世界で年間約600万人、日本は13万人が犠牲になっているとされる。 国内の成人の喫煙率は、男女合わせて3割を割ったが、家庭に子どもや妊産婦のいる割合が多い20〜30歳代の男性喫煙率は40〜50%と高い。 WHOは勧告で「分煙や換気で受動喫煙の害を減らすことはできない」と指摘、各国に完全禁煙の法制化を求めるなどの対応を打ち出している。欧米では公共の場での喫煙を法律で禁じている例も多い。それに比べ、日本の対応はいかにも手ぬるい。 国に頼らず、強制力のある対策を進める自治体がある。神奈川県は09年3月に屋内の喫煙を罰則付きで規制する「受動喫煙防止条例」を全国で初めて制定し、4月から施行される。 喫煙する客が多い飲食店や娯楽施設などに対しては、経営に配慮し、「分煙」を容認するなど緩和措置も設けた。 こうした規制は、国こそ行うべきである。鳩山内閣が掲げる「命を守る」施策の真価が問われる。 |