| 2010年2月22日(月) |
12月の東北新幹線全線開業を機に観光客を呼び込もうという動きが、県内各地で活発だ。観光資源が豊富な下北地域でも本格的な取り組みが始まったが、他地域に比べると、時間と距離という点で大きなハンディを背負っている。 下北の中心都市であるむつ市まで、最寄りの新幹線駅となる七戸十和田駅から約75キロ、八戸駅からは約110キロも離れている。在来線かバスに乗り継いで約2時間を要する。 新幹線利用客が駅から観光地へ移動するための二次交通の重要性が叫ばれて久しい。ただ、下北地域においては新幹線駅から下北までの移動手段とともに、下北入りしてから目的地までの“三次交通”の整備も重要になる。 下北半島は1周300キロ以上ある。日本三大霊場の恐山、マグロで有名な本州最北端の大間崎、寒立馬のいる尻屋崎、奇岩が並ぶ仏ケ浦 などを、路線バスだけで周遊することは不可能。貸し切りバスで訪れる団体客やマイカー客を除くと、少人数の観光客はタクシー利用か、目的地を絞って路線バスに頼るしかない。下北観光協議会は昨年7〜10月、「ぐるりんしもきた観光ルートバス」を試験運行した。1日平均乗客数は7人と目標の半分だったが、PRに手が回らなかったことを考慮すると、さらなる誘客の可能性は高い。 2010年度は新たに食と温泉をメーンにした冬季コース(寒立馬−大間−下風呂温泉)を11〜3月に試験運行する計画があり、通年運行への試金石となる。 一方、観光の主流は“団体パック旅行”から“個人のわがまま旅行”へと変化している。旅行形態で言えば、旅行会社が出発地(都市部)から観光地まで往復面倒を見る「発地型観光」よりも、客自身が目的地に集合・解散する「着地型観光」が脚光を浴びている。 下北観光協議会と下北地域県民局が今月から開催している下北滞在プログラムワークショップは、まさに着地型を目指した取り組みだ。住民や観光従事者が地元の自然や歴史、文化、食などを生かした体験・交流・学習など、観光客を引きつけられるプログラムを模索している。 ポイントは、下北にしかないものを、いかに発掘できるか。例えば下北5市町村が進めている「下北ジオパーク」構想は、観光資源としても魅力的だ。恐山の温泉型金鉱床や宇曽利湖、仏ケ浦の懸崖(けんがい)露頭、猿ケ森ヒバ埋没林など、特徴ある地質資源の形成過程を、地域の人々の生活や歴史とともに、地元ガイドが解説してはどうか。 参加者の中には、「下北検定」で学んだ知識を生かして観光ガイドを目指そうという市民もいて心強い。 課題は、着地型観光プログラムが出そろっても、柔軟に対応できる移動手段が確立されているかだ。半島内のタクシー事業者が連携して観光客を受け入れられる体制づくりと、観光ルートバスが本格運行にこぎ着けられるかが鍵を握る。 魅力あるプログラムと、それを支える“三次交通”との両輪で個人客を振り向かせることができれば、新幹線延伸にも影響されない、遠隔地の成功モデルに十分なり得る。 |