2010年2月21日(日) 東奥日報 社説



■ 地元に利益還流させよう/風力発電事業

 本県は北海道をしのぐ日本一の風力発電県だ。風力発電の設備容量(2009年3月末現在)は27万7100キロワット。県内の風車192基が1年間に発電する電気はざっと5億キロワット時。1キロワット時15円とすれば、75億円を毎年稼ぎ出している計算だ。県漁連の08年度のホタテガイ販売額は約85億円だから、ホタテ産業並みの一大産業ということになる。

 ところが、192基のうち185基は東京など県外の事業者が所有。このため、売電収入のほとんどが中央に流出してしまっている。「風」という地域資源を利用した事業なのに、地元の恩恵は少ない。実にもったいない話だ。

 「風力植民地」ともやゆされる、こんな現状を変えるきっかけになるかもしれない。

 本県と東京都、千代田区は昨年12月、地域間でグリーン電力(自然エネルギーによる電力)を直接売買するための協力協定を結んだ。大規模事業所に二酸化炭素(CO2)排出量の削減を義務付けた東京都条例を見据えた、野心的な計画だ。

 都は自然エネルギーの購入を希望する事業者を募り、本県側にあっせんする。本県は、資金調達をコーディネートするなどして地元資本による発電事業者を育成する。県外事業者には、地元企業との共同事業を求める方針だという。

 県には他の地方自治体から、都と締結した協定に関する問い合わせが相次いでいる。都内の企業からは早くも協定参加の検討を表明する動きが出ている。本県にとって大きなビジネスチャンスなのではないか。

 問題は、だれが、どこから資金を調達し、風力発電所を建設するかだ。

 東京にまとまった電気を送るには2万〜3万キロワット単位の設備が必要だという。定格出力2千キロワットの風車なら合計10〜15基。1基4億円として40億〜60億円もの資金が必要となる。

 これまで県内に風車を建設したNPO法人が地元金融機関から資金を調達できず苦労してきたことを考えればハードルは低くない。

 大間町に市民風車「まぐるん」(定格出力1千キロワット、1基)を所有するNPO法人「グリーンシティ」(八戸市)は地元金融機関に借り入れをことごとく断られたため、全国の市民が出資した基金から融資を受け、やっと開業にこぎ着けた。

 それでも、風力発電事業の成功例が増える中、明るい兆しも見える。

 外ケ浜町の第三セクター「津軽半島エコエネ」は竜飛ウィンドパークの跡地に定格出力1675キロワットの風車2基の建設を始めた。地元金融機関2社が資金面で全面協力した初めてのケースだ。

 地域間連携によるグリーン電力の直接販売を実現させるための足がかりとしたい。県、都は地元金融機関の融資を促すため、初期段階での債務保証を国に求めていくことも必要だろう。

 本県と都の協定は、20年までにCO2を25%削減するという政府の方針にも合致する先進的な取り組みだ。疲弊した地域経済の活性化にも役立つ。成功すれば、モデル事業として全国に広がっていくのではないか。

 課題は多いが、地域資源を生かした、地域のための風力発電産業を育てたい。


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