2010年2月19日(金) 東奥日報 社説



■ 5月決着は大丈夫なのか/「普天間」移設問題

 沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設問題が、前に進まない。迷走を続けている、といってもいい。鳩山由紀夫首相が約束している問題決着までの期限が刻々と近づいてくる。

 名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部へ移設する現行計画に代わる新しい移設先を協議する政府・与党の沖縄基地問題検討委員会は、17日に予定していた社民、国民新両党からの移設案提示を先送りした。

 民主を含めた与党3党の国会対策関係者が、直前の16日になって移設案の提示延期を判断。検討委の委員長である平野博文官房長官に申し入れて見送りとなったようだ。

 移設先の具体案提示を先送りしたのは、国会での2010年度予算案審議などへの影響を懸念したものとみられている。この時期に具体的な候補地を示すと、予算委員会で野党の追及にさらされるからであろう。移設問題に関して、与党内の調整が進んでいないのも理由の一つらしい。

 鳩山首相は、政府案を決めるスケジュールに「何ら影響を与えない」と述べ、5月中にこの問題を決着させる方針をあらためて表明した。首相は強気の姿勢を崩していないが、大丈夫なのだろうか。

 与党内はもとより、移設先となる地元、米側の同意が得られる“決定打”があるのか。現状では極めて疑問だと言わざるを得ない。首相の強気発言の根拠は一体、何なのだろう。

 国民新党はキャンプ・シュワブ内陸部への移設案などを提案するとみられている。だが、名護市への移設反対を訴えて当選したばかりの稲嶺進市長は、「海上も陸上も駄目という立場を貫く」と宣言している。

 県外・国外移転を主張している社民党は18日に開いた常任幹事会で、米領グアムを移設先として検討委に提示すべきだとの見解を確認している。

 「大事なのは最終的に一つの案にまとめることだ」と言う首相は、委員会とは別のルートで、水面下で検討していることをにおわせる発言をしている。

 しかし、候補地を決めたとしても、当該自治体や現行計画を最も合理的としている米国を納得させられるかどうかが肝要。自治体や住民の理解と賛同を得るには、時間もかかるはずだ。

 移設先選定に関して首相は、「かつてうまくいかなかった案だとしても、一つ一つ検討する価値はある」と述べ、過去に断念した場所も検討対象になるとの認識を示している。

 だが、これまで移設先として取りざたされた場所は国民新党案のシュワブ内陸部も含めて、関係自治体のどこもが受け入れに否定的だった。首相の発言が新たな反発を招く恐れがある。

 候補地が浮かんでは消えて、絞り込めずに時間だけが過ぎていく。展望が開けないまま、約束までの日程を浪費する。「普天間」問題には、そんな危うさがつきまとっている。

 5月までに決めると再三言明する首相の胸の内に、成算があるのか全く判然としない。報道によると、既に首相が約束期限を守ることができなくなる「5月危機」がささやかれ始めているという。由々しいことではないか。


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