| 2010年2月18日(木) |
議論沸騰の場面も少なく手ぬるい攻め。質問に対し時に切り返しながらの、定まりのフレーズでの守り。 政権交代後初の鳩山由紀夫首相と自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表による党首討論は「政治とカネ」に集中した。 政権発足から既に5カ月。遅すぎる党首討論だ。谷垣氏は先の予算委員会に続く第2弾だが、その主張は論理的であっても相変わらず鋭い一撃もなく、討論時間が短かったのに加え、野党として追及不足は否めず、消化不良に終わった。 谷垣氏は首相の偽装献金問題と全国で始まった確定申告に絡め「『平成の脱税王(鳩山首相)』が国民に納税を呼びかけることは悲喜劇だ」と皮肉った。初参加の山口氏も「徴税行政の最高責任者として示しがつかない」と批判した。 納税は憲法にうたう国民の義務であり当然の指摘だ。鳩山首相は陳謝しつつ「全く知らなかったことで、私腹を肥やしたり不正な蓄財をしていない」とこれまでの釈明を繰り返した。 「言論の府」の攻防は、大筋で平行線をたどり、緊張と迫力を欠いたうえ、論議は深まらなかった。政党代表自身の個性もあろうが、より内容のある党首討論でなければ意味がない。 テーマを特化し、さらに討論の開催数を増やすことを求めたい。時間が必要なら増やすべきであり、討論力を高め、新鮮で活力のある、骨太な言論へと変えてほしい。 党首討論では、野党が首相から新たな発言や見解も引き出す場面もあった。 資金管理団体の収支報告書虚偽記入事件で不起訴となった小沢一郎幹事長について、谷垣氏は首相に国会で説明させるよう迫った。首相は「進言することは十分あると思う」とした。 政治倫理審査会での弁明を想定した発言との見方もある。が、小沢氏は強制捜査で不起訴となったとし、これ以上の説明は不要と主張している。首相発言がどの程度重いものかあらためて指導力が問われる。 山口氏は政治資金規正法改正に向け与野党協議機関設置を呼びかけ、首相は賛意を示した。今後を注視する必要がある。 一連の事件で谷垣氏は論語の「免れて恥なし」(法の網を逃れているのをいいことに、悪事を恥じようとしない)を引き、首相や小沢氏を批判してきた。 が、討論で首相が谷垣氏の足元を見透かし「政党を含め企業団体献金を禁止すべきだ」と提案、反撃したが、谷垣氏は「問題のすり替え」と応じなかった。首相の本気度と、自民の姿勢が厳しく問われる。 2月の共同通信の世論調査では鳩山内閣は「支持」が41.4%、「不支持」45.1%と逆転。小沢氏や首相の説明に「納得できない」も8割前後に上り、政権交代に懸けた有権者の不信感は増大している。 党首討論で首相は新しい国づくり、無駄遣いのない新しい政治を実現する旨述べたが、谷垣氏はしらじらしい、山口氏は国民はうんざりしている−と反発した。 新しい政治を主唱する民主政権は理想と現実が乖離(かいり)し当初の鮮度を失いつつある。政党支持は民主が微減も自民を上回っているが、民主も正念場だ。 |