| 2010年2月17日(水) |
「野菜は私たちの体に入って生きていく。命の移し替えなのだと考えれば無造作に料理できない」。これは、弘前市で「森のイスキア」を主宰する佐藤初女さんが昨年11月、五戸町で行った講演での指摘だ。 学校給食も、作って育てて収穫する、加工する、運ぶ、調理するといった多くの人の手を経た食べ物を口にして、食べ物の命をもらう“移し替え”を教わり、実感できる場でもある。 地元の食材を使うことで子どもたちに身近な地域への興味や愛着を持ってもらったり、地産地消の意味を知ってもらう。地場産業の振興にも役立てられる。 健やかな体や心をはぐくんだり、乱れがちな食生活をただす上でも大切な学校給食の食材として納入された県産の豚肉が、実はカナダ産だったらしい。 虚偽の原産地表示をした不正競争防止法違反の疑いで、八戸市の食肉販売会社の元経営者が逮捕された。安いカナダ産を納めて差額をもうけようとしたのが動機と話しているようだ。無造作どころの話でない。 偽装された肉は、昨年7〜8月、南郷区を除く旧八戸市内にある66の小中学校の給食に実際に使われた。県産と疑わないで食べた子どもたちや、学校給食は安全・安心と考えて給食費を負担している保護者たちはショックに違いない。 子どもたちに健康被害がなかったようだが、学校給食にかかわる八戸市以外の関係機関も、同じような不正をどうしたらチェックでき、どう防げばいいのかなど、子どもたちを守る対策を考えてもらいたい。 八戸市教委によると、食肉偽装事件が全国的に問題になる以前から野菜、肉などの生鮮食材が給食センターに届くと、センターの職員が箱やビニールを必ず開け、中に入っている食材の色、においなどを確認する体制をとってきた。 専門家以外は肉が輸入品か県産品かを見分けにくいというが、この全量検品をしていた8月下旬、職員が肉の中にビニール片、翌日には虫のような異物が混じっているのを見つけた。 もし検品作業がおろそかだったり、異物の混入を軽視していたら、偽装肉と分からないまま納入が続いていたかもしれない。 市教委は、入札の前に肉の産地証明書や見本品を出すよう納入業者に求めてきたなどそれまでのやり方では不十分と考え、事件の後は、センターに肉を納入する都度、産地証明書を市教委の担当課に前もって出してもらうよう改めた。 逮捕された元経営者は、3年前に発覚した北海道の「ミートホープ」による事件以来、講習会を開くなどして偽装の再発防止を図ってきた県食肉生活衛生同業組合に入っていなかった。 県は、輸入物を県産と偽って県内の事業者がリンゴ果汁を販売した2年前の事件を受け、県内すべての食品製造業者を巡回指導したり、小売業者向けの食品表示研修会を開いたという。だが、元経営者は巡回指導の対象外で、研修会にも参加していなかった。 学校給食関係の行政や業界は、事件を契機に、対策や指導が及んでいない食材納入業者がいるという現実を踏まえた対応を考える必要もあるのではないか。 |