2010年2月13日(土) 東奥日報 社説



■ 弘前の魅力に磨きかけて/「歴史的風致」整備へ

 弘前市が歴史まちづくり法に基づいてまとめた歴史的風致維持向上計画が先ごろ、国から認定を受けた。

 同法は2008年に施行された。地域の歴史的建造物と、そこでの伝統的な人々の活動によりつくり出される良好な環境(歴史的風致)を維持、向上させ、後世に継承するのが目的だ。

 弘前市は今回、水戸市や滋賀県長浜市とともに認定を受け、認定は計15市町となった。弘前市の認定は東北・北海道で初めてだ。

 認定された市町村に対して文部科学、農林水産、国土交通の3省が連携し、財政面などで、歴史的な風情や情緒を生かしたまちづくりを支援する。

 歴史的・文化的な遺産に恵まれた弘前市にとって、またとない法であり、計画の認定といえる。

 今年12月に東北新幹線新青森駅開業となれば、弘前市を中心とする津軽地方に全国の目が向けられる。将来に向けた、弘前市の魅力アップへ事業を進め、磨きをかけてもらいたい。

 弘前市の計画は「弘前城下町地区」(395ヘクタール)と「岩木お山参詣地区」(34ヘクタール)の2地区を重点区域に設定した。計画期間は09年度から18年度までだが、必要に応じ変更する。

 計画には、区域内にある文化財の保存活用を図るため、建物の補修などのハード事業、津軽塗保存伝承などのソフト事業を合わせ17事業を盛り込んだ。

 具体的には、弘前城本丸の石垣修理や伝統的な街並みの残る地区の電線地中化、来年の弘前城築城400年祭記念イベントなど既存事業のほか、旧陸軍第8師団長官舎や旧紺屋町消防屯所の保存補修など新規事業もある。

 歴史的な景観保護、岩木山の眺望景観の保全へ向け景観計画もまとめ、文化財周辺の屋外広告物規制強化なども予定する。また、城下町時代の町割りに配慮した都市計画道路の見直しも探る。

 弘前市は、津軽地方を統一した津軽氏の居城である弘前城を中心に街が広がる。城下町地区には、代官町、鉄砲町、鍛冶町、銅屋町、桶屋町など城下町独特の地名が今も生きている。明治、大正期に建てられた古い教会や洋館、民家なども残り、弘前らしい街並みが魅力となっている。

 その城や街並みを背景に、先人から引き継がれてきた春のさくらまつりや夏のねぷたが、風情を醸し出す。歴史ある神社仏閣の夏の宵宮も情緒がある。この街で津軽塗という伝統産業もはぐくまれてきた。

 お山参詣地区は、岩木山神社や高照神社と両神社につながる旧街道を含み、津軽のシンボルである岩木山信仰の伝統を今に伝える。出来秋に感謝するお山参詣は、津軽の風景に欠かせない風物詩となっている。

 これらは他にはない弘前市の観光資源だ。同市では、東北新幹線全線開業をにらみ市などが観光施策「弘前感交劇場」を展開、その観光資源を組み合わせたさまざまな街歩きを提案しており、魅力アップは観光振興にとっても大きい。

 歴史まちづくり法の対象となったことにより、歴史の息づく街づくりへ施策が広がる。魅力にさらに磨きをかけて、後世に引き継ぎたい。


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