| 2010年2月12日(金) |
2009年の自殺者数は08年を504人上回る3万2753人で、過去5番目に多かった。12年連続で年間の自殺者が3万人を超える憂慮すべき状況が続いている。 政府はこうした事態を踏まえて、省庁が一丸となって取り組む「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を先週、決めた。 自殺対策の現状を報告、課題などを探る「いのちを守り、いのちを支える全国フォーラム」が昨年9月、秋田市で開かれた。基調講演したNP0法人自殺対策支援センター・ライフリンク代表の清水康之さんは、自殺問題を読み解く上で鍵となる三つの数字があると述べている(09年10月25日付本紙朝刊)。 一つは「98.3」だ。日本の年間自殺者数が初めて3万人を超したのは1998年。自殺者数を月別でみると例年、決算期に当たる年度末の3月が最も多い。清水さんは、この年の3月が転機になったと言う。 前の年に山一証券の破たんなど金融危機が深刻化した。前年より自殺者が一気に8千人以上も増えた背景に、社会経済的な要因が深く関係していた。 二つ目は「4.0」。失業、生活苦、多重債務、うつ病という四つの段階を経て死に至るなど、一人の自殺の背景にいくつの要因があるのかを示す数字だ。要因の連鎖を断ち切るのが対策の中心となるはずだが、対応できているのかと清水さんは疑問を投げ掛ける。 最後は「72」。自殺者の72%が死ぬ前に相談機関を訪れていたという。最後の最後まで生きる手段を求めて、相談窓口にたどりついていた人々を救えなかった重い現実を、われわれは直視しなければならない。 自殺の予防には社会経済的な要因などを分析し、きめ細かで総合的な対策が求められる。一つの相談窓口を入り口にして、思い悩んでいる人が、必要とする複数の支援策にたどり着けるようにするために、行政や民間の相談窓口が緊密に連携する必要がある。 清水さんは、地域社会はその環境をつくることができるはずだと力説する。人々の「生きる力」を支え、信頼の輪が広がる社会づくりが肝要といえそうだ。 政府のプランに盛られた対策は、心の健康や債務問題での相談窓口の拡充、自殺未遂者や遺族への支援強化など多岐にわたる。債務問題が理由の自殺の増加が懸念される3月を「自殺対策強化月間」として、地方公共団体、関係団体とも連携。重点的に広報啓発活動を展開するという。 県警のまとめだと、09年の本県の自殺者数は前年より30人増え543人。3年連続の増加となっている。男性が7割以上を占め年代別では50代と60代が多い。 自殺の原因は病気など健康問題、借金や倒産など経済・生活問題、家庭問題が多いが、原因不詳が前年から倍増している。一人暮らしで家族や近所との付き合いもなく、遺書を残さずに自殺するケースが増えているのかもしれない。 自殺には産業構造などが反映し、地域特性があるといわれる。政府は自殺統計の地域別データを集計・公表することにしており、地域の実情に即した施策の構築に生かしたい。 |